第二千八百五話 悲しい言葉
ロキューズ……俺の声が聞こえないか?……なあ、ロキューズ……。
ガイウスは散々っぱらロキューズに語りかけた。
だがその反応は皆無であった。
そのため、ガイウスはあきらめて瞼を開いた。
すると、やはりというか案の定アルマスが瞬時に言ったのだった。
「どうだ?反応はあったか?」
ガイウスは面倒くさそうに首を横に振った。
「ないね。ていうかこの方法で本当に連絡取れるのか?」
「しらないよ。でも他に方法ないだろ?まあいいや、じゃあ十分休憩して、またやってくれ」
「いや、ちょっと待てよ。方法が違っていたら延々とやったところで、永遠に連絡なんて付かないぜ」
「でも他の方法なんて知らないんだろ?」
「知らないけど、これだけやってダメなら、この方法は間違っているってことだろ?」
「わからないじゃないか。まだ大してやってないし」
「いや、充分やったわ。これでダメならこの方法は間違いだ」
するとアルマスが不服そうに首をかしげた。
「そう言えるほどやったかなあ~?」
だがガイウスは力強く断言した。
「やった!間違いなく充分やった!だからこの方法は間違い!」
ガイウスは有無を言わさぬ勢いで言い切った。
するとアルマスがガイウスの気迫に押され、しぶしぶ了承した。
「わかったよ。でも他の方法はないのか?」
「それは……探してみるさ」
「探すったってどうやって」
「それは……誰か知っている奴を探す……って感じかな」
「ずいぶんとあやふやだなあ……」
「それを言うなら全部あやふやなんだよ」
「そうかあ?」
「そうだよ!とにかく、ロキューズと連絡を取る方法を俺は探ってみる。無論、何処に囚われているのかとかもだ」
勢いのあるガイウスに、アルマスが渋々了承した。
「わかった。じゃあ待っているよ。でも出来るだけ早く解放しに来てくれよ?」
「わかってる。出来るだけ努力するよ」
「本当だな?」
「本当だよ」
するとアルマスがようやく納得した顔で笑みを浮かべた。
「わかった。では気を付けてな」
ガイウスも笑みを浮かべ、言ったのだった。
「それじゃあな。しばらくの間、待っててくれ」
「ああ。そうするよ。わたしにはそれしか出来ないのだからな……」
ガイウスはアルマスの悲しい言葉を背に受けつつ、ゆっくりと社殿を後にするのであった。