表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2803/2853

第二千八百話 天帝

「さあ?……さあ、じゃすまないだろうが」


 ガイウスが怒りに任せて言った。


 だがアルマスはどこ吹く風だった。


「知らないものは仕方がないだろう」


「なんで知らないんだよ。お前に命令を下した相手だろ?」


「そうだな」


「そうだな、じゃないんだよ!」


 ガイウスが声を荒らげた。


 だがやはりアルマスはどこ吹く風だった。


「そんなことを言われても、天帝について詳しく知っている者などいないんじゃないかな?」


 ガイウスは眉根を寄せた。


「なんでだよ?偉いさんなんだろ?素性もわからない奴がなんで偉いさんになるんだよ」


 するとアルマスが首を傾げた。


「さあな、なにせ千年ほども君臨しているようだからな」


 するとガイウスがまたもため息をついた。


 アルマスはまたもそれに文句を言った。


「またため息をついたな。やめろ、気分が悪い」


「お前が何にもしらないからだろ。なんでそんなに知らないんだよ」


 するとアルマスが驚くべきことを口走った。


「仕方がないだろう。わたしは天帝に生み出されて命を請け、すぐに地上に下りたところで捕まったんだからな」


「…………え?」


 ガイウスはすぐにはアルマスが言った内容が飲み込めなかった。


 だがなんとか時間をかけて反芻し、ようやく言葉の意味を飲み込んだ。


「お前、生まれたばかりの赤ちゃん状態で捕まって二百年ってことか?」


 するとアルマスがうなずいた。


「そうだ。退屈にもほどがある」


「な、なんだそりゃ?」


「なんだそりゃと言われても、そうなんだから仕方がないだろう」


「お前、色々と変にもほどがあるぞ」


「それも、そんなことを言われても、そうなんだから仕方がないだろう」


「お前、なにかって言えば『仕方がないだろう』だな」


「ほかに言えることもないからな。仕方がないだろう」


 ガイウスはあきれ放題にあきれた。


「ああ……面倒くさい。なんかいろいろと面倒くさい……」


「そう言うなよ。出来るだけ早く解放してくれ。わたしは生れ落ちてすぐに捕まってしまった可哀そうな奴なんだからさ」


「そんな奴をなんで俺が解放しなきゃならないんだよ。天帝がしろよ」


「そんなことをわたしに言われてもなあ…………」


「お前生まれてすぐに地上に来て、ですぐに捕まったんだろ?だったら天帝は捕まっているところを見てたんじゃないのか?」


 だがアルマスは首を横に振ったのだった。


「見てなかったんだろ?だからわたしは二百年捕まったままなんだろうさ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=46484825&si
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ