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第二百五十話 故国

「……あっちの世界と同じじゃないか……」


 ガイウスは今まさに眼前に迫る鳥居が、かつて自分がいた世界の鳥居と同じく神の門たる性格を持つことを知り、目を見張って驚いた。


「うむ……どうやら同じもののようじゃな……お前さんたしかあっちの世界での記憶はほとんどないのだったな?」


「うん。ただそれは自分に関する記憶がないというだけで、知識はあるんだよ。だから鳥居に関する知識も一応はあるんだけれど……」


「けれど……なんじゃ?」


「鳥居がなんで鳥居というのか、また何であのような奇妙な形をしているのかなど、あっちの世界でも鳥居に関することはほとんどなにも判ってない筈なんだよ。昔から伝承されてきたから建てられているけど……ね」


「ふむ……昔からというのはどれ位昔の話なんじゃ?」


「そうだなあ……少なくとも千年以上は前だと思うよ」


「千年じゃと?……う~む、それはなかなかじゃな~」


「こっちはどうなの?やっぱり起源は古いのかな?」


「聞いてみる。ちょいと待っとれ」


 エルは言うや、ナーガとまたぞろ無言の会話をし始めた。


「どうやらこっちも相当に古いそうじゃ。もっとも千年も古いものかどうかまでは知らんそうじゃがな」


「そうか……由来は聞いた?」


「うむ。残念ながら知らんそうだ。ただ村の長老ならなにか知っておるかもしれんそうだ。まあ望み薄かもしれんが村に着いたら早速聞いてみることにしようかのう」


 その時、ナーガの背に跨ったガイウスは丁度鳥居の下を通りかかり、鳥居を見上げて感心するように呟いた。


「……こういうのは二度目だな……」


「うん?以前にもこれと同じものをこちらの世界で見たことがあるのか?」


「いや、そうじゃない。鳥居じゃなくて別の建物だよ。エルも知ってるだろ?幼馴染のユリア。彼女の家がさ、銭湯っていうあっちの世界の建物とそっくりなんだよ。それもさ、鳥居同様あっちの世界の僕の生まれ育った国、日本特有の建物なんだよ」


「ほう、あっちの世界でお前さんがいた国はニッポンというのか」


「そう、もっとも日本(ニホン)という時もあるけどね」


「そうなのか?二つ国名があるのか?」


「うん。僕もよくは知らないけどね。なぜか呼び名が二つあるね……ああそうだ、外国からはジャパンって呼ばれているから合計三つあるな……他にもあるかな?……」


「……なんじゃそれは……混乱せんのか?」


「う~んまあ大丈夫だったね……一応……」


「ふ~む、さても面妖な国じゃな」


「そう言われてみると確かに変だよな。なんでなんだろう……でもまあそんなことより、なんか懐かしいなあ……久しぶりに名前を口にしたからかなあ……」


「そうか、お前さんこちらに転生してたしか十二年だったか?ならば当然懐かしくもなるわな」


「そうか……十二年か……長かったような、短かったような……」


 ガイウスは、久しぶりの故国の名を口にしたことで郷愁に襲われたのか、しばし遠い目をして懐かしむのであった。

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