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第百七十九話 君臨

 ガイウスはいきなり大出力の紅蓮の炎(バーフレイム)を、メノンティウス目掛けて立て続けに放った。


 紅蓮の炎(バーフレイム)は渦を巻いて爆音凄まじく襲い掛かり、メノンティウスはたちまち激しい閃光と立ち込める煙によって覆い隠された。


 だがガイウスはそうなってもなお手を緩めず、次から次へと紅蓮の炎(バーフレイム)を繰り出し続けた。


 その間、およそ二十秒。


 ようやくガイウスは手を緩めて放出を止め、メノンティウスを包む煙が晴れるのを待った。


 その間、およそ七秒あまり。


 煙の隙間から無傷のメノンティウスが悠然とその姿を現した。


 ガイウスは驚き、目を見張った。


 だがすぐに気を取り直し、更なる高出力の連撃を放ち続けた。


 しかしそれでも、メノンティウスの身体には傷一つ付けることも、その身体を覆う体毛を焦がすことすらも出来なかった。


「まつろわぬ者よ。さすがだな。このドームの中にはお前のかりそめの友人たちが何十人といるが、そのことを気にも留めず、それだけの高出力の魔法を繰り出し続けるとはな。どうやらようやく、奴らなど所詮はかりそめの者たちだということに気付いてくれたのかな?」


 メノンティウスの言葉に、ガイウスは心底から激しく動揺した。


(しまった!マックスたちのことを忘れるなんて……さっきまでは散々時間をかけて天井に穴をあけようとしていたのに……くそっ!俺は一体何をやっているんだ!)


 ガイウスはすぐさま上空高く飛び上がり、百(メルクル)ほどの高さまで到達すると中空で止まり、その場で反転してドームから遠ざかるべく猛スピードで地面と平行に飛び去った。


 メノンティウスはガイウスの行動をにやりと口元を引き歪めて一笑に付したかと思うと、泰然とした様子でゆっくりと浮かび上がり、ガイウスを追って高速飛行を開始した。


 ガイウスは高速で一分ほども飛び、かなりドームから遠ざかったところでようやく中空に立ち止まった。


 そしてゆっくりと下降して地面に降り立つと、メノンティウスの到着を待った。


 するとしばらくしてメノンティウスが追いつき、ガイウス同様地面に悠然と降り立った。


「まつろわぬ者よ。先程のあれは、つい失念してしまったということではすまされまい。へたをすればドームの天井に大穴を開けて何人もの人死にを出していてもおかしくなかったのだからな。お前は彼奴らを友達だと思っておったかも知れんが、それは表層心理にすぎぬ。深層心理においては、やはりお前は彼奴らを、所詮はかりそめの者たちと見下していたということだろう。やはりお前はまつろわぬ者だ。そしてやはりお前は王にふさわしい。なぜならば王とは、誰に対しても平等に高位より民衆を見下し、等しく距離を置いて君臨するものなのだからな」

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