第千四百四十三話 仮面
「すげえ時間かかっちゃったな……」
ガイウスは遙々長い道のりを徒歩で移動し、ようやく現在彼らが拠点としているルーボスへと辿り着くや、ひとしきり愚痴を零した。
「やっぱ徒歩だと大変だよ。飛べばあっという間なのにさ……参っちゃったよ……」
ガイウスは部屋のソファーへとどっと倒れ込むと、苦笑交じりに話しを聞くロデムルに対し、さらなる愚痴を繰り出すのであった。
「だいたいさ、あのカルビンて奴はおかしすぎるよ。あれってもしかしてただのミーハーって奴なんじゃないかな?俺が特異点だってだけで纏わり付いたように思うんだけど……」
するとガイウスの隣に座り込んだカルラが、ウンウンとうなずきながら同意した。
「どうもそういうことのようだな。あの感じは、本当にただのミーハーである可能性が高そうだ」
すると同じ様に部屋にいたシェスターが難しい顔となって言った。
「本当にそうだったのでしょうか?何か他に狙いがあったのではないでしょうか?」
だがこれを、ガイウスが即座に手を横に振って否定した。
「いや、ないない。深い考えなんてないってシェスターさん。あれはただのミーハーだよ」
「ふむ……しかしどうもわたしは引っかかるのだが……」
シェスターは、それでも疑問を払拭出来なかったのか、首を横に傾けて悩み始めた。
するとカルラが、そんなシェスターを気にした。
「そんなに気になるか?カルビンのことが」
シェスターは難しい顔付きのまま答えた。
「はい。無論それにイオーヌたちもです」
「ふうむ。確かにわたしもイオーヌたちに関しては非情に気になるな。だがカルビンは……」
「ただの俗物だと?」
「うむ、少なくともわたしにはそう見えたがな?」
「ええ、わたしも一瞬そうではないかと思いましたが……」
「が、どう思ったのだ?」
「はい。あれは仮面ではないかと思いまして」
「あれがか?……わたしにはそうは思えなかったが……」
するとガイウスも、カルラ同様シェスターの意見に異論を唱えた。
「いやあ、シェスターさん。ないって。あれは本当にただの俗物だって。本当に俺、ただただひたすら気持ち悪かったもん」
するとシェスターが小刻みにうなずき、ガイウスの言葉を頭の中で反芻しながら言ったのだった。
「うむ、その気持ち悪かったというのが引っかかるのだ。承知の通りカルビンは世界最強国家ローエングリン教皇国のナンバー2と目されている男だ。そのナンバー2が、ただ気持ち悪いだけの男に務まるだろうか?それ相応のカリスマ性なりがありはしないだろうか?わたしには、でなければあそこまでのし上がることが出来たとは到底思えないのだよ」




