第千四百四十一話 イライラ
「さあ、皆さん、帰り支度だ!出来るだけ速やかにお願いしますよ!」
ガイウスは元親衛隊の者たちがあてがわれている部屋の前の廊下を大股で歩きながら、大声で言った。
すると、すわ何事かとアルスたちやアジオたちがドアを開けて廊下に顔を出した。
「何してんの!さっさと帰るよ!すぐに帰り支度をして!」
突然のことに互いに顔を見合わせるばかりの皆に対し、ガイウスが少々イラつき気味に再度急き立てた。
「ほう、早く早く!ルーボスにとっとと帰るよ!早くして!」
すると、伝説級の大魔導師であるガイウスの苛立ちを見て取ったアジオが、少々慌て気味に言った。
「さあ皆さん、言われたとおりに帰り支度をしましょう。ルーボスへ帰れるそうですよ?」
「そう!とっとと帰るんだからさっさと用意して!」
ガウスはさらに皆を急き立てた。
するとようやくここで皆が一斉に動き出し、それぞれの部屋へと戻って帰り支度をし始めた。
ガイウスはようやくそこで一度深呼吸をすると、自らがあてがわれている部屋へと戻っていった。
するとそんなガイウスを、カルラがニヤニヤしながら出迎えた。
「一秒でも早くルーボスへ帰りたいみたいだな?いや、ルーボスではなく、この邸から一刻も早く立ち去りたいってところか」
「そりゃそうでしょ。あんな気持ちの悪い奴、二度とごめんだよ!」
ガイウスが吐き捨てるように言った。
するとカルラが他人事のようにニヤニヤ笑いをしながら言った。
「そうかい?もう少し話してみたら、面白いんじゃないか?」
ガイウスは身体をブルッと震わせながら言った。
「冗談じゃないよ!あいつと話すなんてのは金輪際ごめんだよ!」
ガイウスの剣幕はかなりのものであった。
だが、それでカルラのニヤニヤが止まるわけもなかった。
「だがお前さん、必ずもう一度ここへ来るって言ってなかったか?」
カルラが、かなり意地悪く言った。
すると、ガイウスが相当に不機嫌な顔となって言った。
「そんなの嘘に決まっているだろ?嘘も方便ていう奴だよ」
「なにが方便なんだ?ただの嘘つきじゃないか」
「だったらそれでもいいよ!とにかく俺はとっととこの邸を出るし、二度とこんなところに来るものかよ!」
するとそこでようやく同室のシェスターが、苦笑気味に両者の間に割って入った。
「ガイウス君、まあ少しは落ち着きたまえ」
だがガイウスのイライラは、一向に治まらないのであった。
「これが落ち着いていられますか?無理ですよ。俺はああいう奴は生理的に受け付けないんでね」




