第千四百四十話 挨拶
1
「まあ、別にいいけどね。で、それはいいとして、この後どうするの?」
ガイウスが両手を広げて肩をすくめながら言った。
するとカルラが同じ様に肩をすくめながら返した。
「決まっているさ。お暇するのさ」
「まあそうだよね。例の地下水路の怪物の残滓だっけ?ああ、残滓の残滓か。あいつも居なくなったことだし、安心してアルスたちを連れ帰れるってわけだ」
「そういうことだ。正直この館には他に用はないしね。館の主にはもっと用はない」
「同感。ハッキリ言ってあいつ気持ち悪いしね。サッサと帰るとするか」
「ああ、ちと疲れるが飛行魔法で皆を一気に運ぶとしよう。いいね?」
「ああ、大した人数じゃないしね。俺はいつでもいいけど……一応挨拶はしておく?」
するとそこでシェスターが発言した。
「そうだな。アルスたちを安全に預かってくれていたのだし、一応礼儀として挨拶は必要だろう」
するとカルラがすかさずソファーに倒れるように座った。
「ならお前たちで行っておいで。わたしはここで待っているよ」
すかさずガイウスが嫌そうな表情を浮かべながら苦情を申し立てた。
「ずるいよ。俺だって嫌だよ。ていうか俺が一番嫌だよ。だってあいつ俺に興味持っているんだよ?絶対一筋縄じゃいかないよ」
「だったらなおさらお前が挨拶に出向かなきゃならないだろうさ。ほれ、早く行っといで」
カルラは右手を振って、とっとと行けとばかりに指図した。
ガイウスはさらに嫌そうな表情を浮かべるも、仕方なしにシェスターと顔を見合わせ渋々納得した。
「しょうがない。行こう……」
シェスターは苦笑いを浮かべながら、ガイウスの背中に手を掛けた。
そして二人はゆっくりと部屋を出ていこうとするのであった。
2
「それはまた急ですね。もう少しゆっくりしていけばよいのに……」
別れを告げたガイウスたちに対して、カルビンが予想通りに引き留めに掛かった。
「いえ、色々と忙しいもので……カルビン卿もお忙しいでしょうし……」
「いやいや、わたしは暇だよ。こんな別荘に来ているくらいだからね。だから遠慮せず長逗留していったらいい。部屋も用意しているしね。それともあれかな?部屋が気に入らなかったかな?」
「いやいやいや、別に部屋がどうとか、この別荘がどうとかいうことじゃありませんよ。そうじゃなくってちょっと帰ってやることがあるもんですから……」
「そうかね?しかしわたしもまだ色々と話を聞きたいのだがね……」
「いやいやいや、でしたらそれはまた後日ということで……」
「おう、また来てくれるかね?是非とも聞きたい話が他にも山ほどあるんだよ」
「そ、そうですか……判りました。では後日に」
ガイウスはサッと手を挙げると、スッと踵を返してすぐさまスタスタと後退した。
シェスターは軽くカルビンに一礼すると素早く踵を返し、途端に苦笑を浮かべながら、サッサと立ち去ろうとするガイウスの後を追うのであった。




