第千四百三十九話 棚上げ
「あれか……サタンもルキフェルも俺を見られないって奴か……」
ガイウスがようやく思い出した。
シェスターは大いにうなずき、言ったのだった。
「そうだ。ルキフェルについては我々の勝手な推測でしかないが、サタンについては自身の告白だ。ある程度信用していいだろう」
「そうだね。で、もう一人の特異点も俺が見えないってことか……でもそうするとルキフェルやサタンも特異点ってこと?」
「いや、そうではないと思う。だが大いなる力を持った者は特異点を認識出来ないとすればどうだろうか?」
「大いなる力……サタン、ルキフェルクラスのってことか……う~ん、若干無理があるような気が……」
するとシェスターが苦笑を漏らした。
「ああ、わたし自身も少し無理があるのではと感じているがね。だが、それくらいしか整合性のある答えは見つからないんだよ」
「まあ確かにね。もう一人の特異点と俺が引き合うはずなのに、出会わない理由が他に考えつくわけでもないしね」
「ああ、そういうことだ」
するとガイウスが天を仰いで考え込んだ。
「う~ん……どうなんだろうな~……だってサタンはともかくルキフェルは俺に何度もちょっかいを出してきているしな~」
「だが、それは彼の部下といえる者たちが動いた結果だったとは考えられないか?」
するとガイウスがしばし思い出した後、コクリと首を縦に下ろした。
「……確かに。エルとか……まさにそんな感じだ……」
「おそらくイオーヌもだ。他にもルキフェルの手下は沢山居るだろう。我々が認識していないだけでな」
「実はルキフェルは俺が見えない、認識出来ないにもかかわらず、それを悟られないように部下たちを使って俺に接触してきたってことか……あり得るかな?カルラ」
そこでガイウスは判断をカルラに委ねた。
カルラもまた考え込み、しばし沈思黙考した。
そしてついにカルラがその重い口を開いたのだった。
「わからんな。なのでこの問題は棚上げすることとしよう」
「……ずいぶんあっさり棚上げするね?」
ガイウスが思わず突っ込みを入れた。
だがカルラは意に介さなかった。
「あっさりとでもこってりとでもどちらでもよい。判らないことはとりあえず棚上げにするのが大人ってもんさ」
「……それが大人のやり方なのか?」
「そうさ。大人はな、暇じゃないんだ。いつまでも一つのことにこだわってはいられないんだ。だからとりあえず棚上げにして、何かヒントでも見つかったときにあらためてその問題を解けばいいのさ」
カルラはそう言うとシェスターに同意を求めるように見つめた。
するとシェスターは、すかさずカルラに同意したのだった。
「そうですね。ここは一つ、カルラ様の言われるとおり棚上げすることとしましょう」




