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第十一章 神の棺

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第千四百四話 カルビン評

「そうか、外にほとんど出ないのなら確かに飽きるな?」


 シェスターが苦笑いを浮かべながら言った。


 イオーヌは朗らかに笑った。


「そうでしょ?いくら館が広くってもずーっと中にいるんだもの。景色なんてもうほとんど見ないわよ」


「ふむ……だがそれで退屈はしないのか?」


 シェスターの問いに、イオーヌがすかさず答えた。


「するわ。たまにね」


「たまになのか?わたしなどは一週間も家に引きこもっていたら、とてもじゃないが耐えられなくなると思うが」


 するとイオーヌが首をひねった。


「そう?……う~ん、たまに暇だな~って思うことはあるけど、いつもじゃないわ」


「そうなのか?しかし、館がいくら広いとはいっても、そんなに沢山の人がいるわけではないだろう?」


「ええ、そうね。少ないわよ」


 シェスターはそこでさらに突っ込んで質問した。


「ほう、何人なのだ?」


 イオーヌは軽く微笑むと、とぼけた様子で答えた。


「さあ~、何人だったかな~」


「ふむ、それは誤魔化すのだな?」


「あら、わたし誤魔化したかしら?」


 イオーヌが可愛らしく言った。


 シェスターはまたも苦笑を浮かべた。


「しているではないか」


「さあ~どうでしょうね?」


 シェスターは、イオーヌの様子が柔らかではあるが頑なであったため、諦めた。


「わかった。ではまた話題を変えよう」


 イオーヌは可愛らしい笑顔をそのままに言った。


「そう。いいわよ。どうぞ?」


 イオーヌに促され、シェスターがしばし考え込んだ。


「……そうだな。では、これから向かう先の人物について聞こうかな」


 するとイオーヌの顔が途端に曇った。


「カルビン?……別にわたしに聞かなくったって、この後会うんだからいいじゃない」


「いや、君のカルビン評をちゃんと聞いておきたいと思ってね?」


「わたしの?さっき言わなかったっけ?」


「言ったな。だがそう多くは語っていないと思ってね。出来れば詳しく聞いておきたい。なにせ我々の中にカルビンと面識のある者はいないのでね」


「ふ~ん、まあいいけど……でもあんまり話したくはないわね……ああ、でも別に隠そうってわけじゃないわよ?単に嫌いな人間のことを話すのが嫌ってだけよ?」


 イオーヌが顔をしかめて言った。


 シェスターは何度もうなずき、イオーヌに同調している風を装いながら言った。


「そうか。だが実際どうなのかな?カルビン卿を嫌いなのは判ったが、彼について評価できる部分はあるかね?」


「評価?……そうね。頭は相当いいわね。それも……恐ろしいほどね」


 イオーヌはそう言うと、目を細めて遠くを見つめるのだった。

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