表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1392/2853

第千三百九十話 重大な告白

「ところで、他の二人はどうしているのかな?」


 シェスターが、カルビン邸への道中、イオーヌに対して何気なく質問した。


 イオーヌは事も無げに答えた。


「ここにはいないわ」


「それは見ればわかる。我々も馬鹿ではない。先程から周囲に気を配っているが、何の気配も感じられないのでな」


「ええ、だってこの近くにはいないもの」


「ふむ、ではカルビン邸にいるのか?」


 するとイオーヌはシェスターの顔を見ず、ただ真っ直ぐ前を見据えて答えた。


「さあ、どうかしら?わたしは彼女たちが何時、何処で、何をしているかなんて常に把握しているわけではないもの」


「なるほどな。では質問を代えよう。君は三姉妹の長女か?」


 するとイオーヌが少し考えてから答えた。


「……そうね。たぶんそうよ」


 何やら曰くありげな物言いに、シェスターがいぶかしげな表情となった。


「たぶんとは、ずいぶんな言い回しだな?何を言い淀んでいるのだ?」


 シェスターが挑発的に言った。


 だがイオーヌは何食わぬ顔で、ただ前を見据えながら答えるのだった。


「別に言い淀んでいるわけじゃ無いのよ?そうね……わたしたちは少し変っているのよ」


「ほう、変っているとはどういう風にだね?」


 シェスターの素早い追及ではあったが、イオーヌはどこ吹く風であった。


「言っても、貴方たちには判らないわ」


 イオーヌはそう言うと、長く艶やかな髪を向かい風にたなびかせて軽やかに笑った。


 シェスターはさらにいぶかしげな表情を浮かべながら、さらなる追及を試みた。


「それは聞いてみなければ判るまい。言ってみてくれ」


 すると、ここでようやくイオーヌが、横に並んで歩くシェスターの顔をチラと見た。


「そう。確かにそうね。では教えるわ。わたしたちには幼き日の記憶がないのよ」


 突然の重大告白に、シェスターたちは皆一様に驚きの表情を浮かべた。


「……わたしたちということは、三人ともということか?」


 シェスターが落ち着きを取り戻して問いかけた。


 するとイオーヌが、またも真正面をジッと見据えて歩きながら、静かに答えた。


「ええ、そうよ。三人ともよ」


 シェスターは眉間に皺を寄せ、怪訝な表情となった。


「……それは何か……特殊な環境にいたとかかな?」


「特殊な環境?まあ、そうね。たぶんそうよ」


「ほう、そうなのか……それは一体どんな環境だったのだ?」


 重ねて問いかけるシェスターに、イオーヌがまた振り向いた。


「判らないわ。だって記憶が無いんだもの」


 朗らかに笑うイオーヌに、シェスターは心がざわめくような感情を思い起こされるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=46484825&si
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ