第千三百七十話 役場
「じゃあ早速、地下への入り口を探すとしましょう!」
アジオが勢い込んで言った。
シェスターはうなずき、周囲を見回した。
「古い建物だ。おそらくはこの町で最も古い建物に、地下への入り口があるはずだ」
アジオもせわしなく周囲を見回し始めた。
「……どれがどれだか判りませんよ……町の人に聞いた方が早いんじゃ?」
シェスターがすかさず同意した。
「そうしよう」
シェスターは素早く行動し、最も近くにいた男性に声を掛けた。
「すまないが、この町で最も古い建物はどれだろうか?」
男性は唐突な質問に、一瞬目を丸くしたものの、すぐに質問の意味を理解すると、笑顔でもって答えたのだった。
「ああ、この町で一番古い建物ね。それなら役場だね。ほら、あそこに見えるだろう?緑の看板。そこの角を右に曲がって、真っ直ぐ行った先に……そうだな、もっと具体的に言わないと判らないよな。え~と~、角を曲がって真っ直ぐ、交差する三本の道を突っ切って、四本目の道を左に曲がると、役場があるよ。見るからに古そうな建物だからすぐに判るさ」
シェスターたちは丁寧にお礼を述べると、すぐに向かった。
そして……。
「ああ、あれですかね?」
アジオは、緑の看板を右に曲がり、真っ直ぐ進んで四本目に交差する道に入った途端、左を向いて件の建物を発見したのだった。
アジオの指差す方向を見て、シェスターがうなずいた。
「おそらくそうだろう。行ってみることとしよう」
二人は連れだって歩き、いかにも古めかしい石造りの建物へと向かっていった。
そして建物の目の前に辿り着くや、タイミング良く居合わせた女性に向かって、アジオが問い合わせたのだった。
「すみません。こちらが役場ですか?」
女性は笑顔で答えた。
「ええ、そうですよ」
「ありがとうございます」
アジオは軽く会釈をしながらお礼を言うと、シェスターを促しながら建物内へと入っていったのだった。
「確かに、古いのは間違いないみたいですね?」
アジオの問いに、シェスターが同意した。
「そうだな。だが念のためもう一度聞いてみよう」
シェスターはそう言うと、目の前を通り過ぎようとしていた役場の職員と思われる男性に尋ねた。
「すまないが、こちらの役場はこの町で最も古い建物だと伺ったのだが?」
男性はうなずき、答えた。
「ええ、そうだと思いますよ。元々この建物は、その当時この辺り一帯を治めていた領主の屋敷跡でして、その時はこの町は存在せず、全部領主の屋敷の庭だったんです。ですから他に建物なんて何も無かったはずですから、必然的にこの建物がこの町で一番古い建物ということになりますね」
簡潔にして明快な回答に、シェスターたちは大いに満足するのであった。




