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第千三百五十話 偶然の一致

「……オーガが、ただの怪物とはな……これはだいぶ予想外であったな……」


 カルラが心底ガッカリしたといった表情となって呟くように言った。


「予想外か。確かにこちらでは土着の神とはいえ、最強クラスとおぼしき神だからな」


 ジーラがカルラを慰めるように言った。


「ああ、そうなんだ。伝承が正しいとするならば、まさしく最強のはずだ。だがあちらの世界では……ただの怪物となれば、ずいぶんと小物ということになってしまう」


「ふむ、そうだな。確かに小物といえるだろうな。先程名前が出た連中が、どちらの世界でも大物であるのと大違いだな」


 するとカルラが真剣な眼差しでもってうなずいた。


「ああ、こうなるとこちらの伝承が間違っているのかと疑いたくもなる……」


 ジーラは深く考え込んだ。


「そうかもしれないねえ……オーガはあちらの世界ではそれなりに有名だからな。かなり人口に膾炙しているといえる存在だ」


 カルラは大きく溜息を吐いた。


「そうなのか……となると……やはりこちらが間違いの可能性が高いのだろうか……」


 カルラが自信なさげに呟くと、ジーラが少しばかり同情気味に言った。


「まだそうとばかりも言えないんじゃないか?先程の者たち以外では、片方の世界でしか知られていない者もいる。それに偶然名前が一致しただけの可能性もあるぞ?」


 カルラは難しい顔付きとなっていった。


「ふむ、その可能性もあるか……単純な言葉でもあるし……」


「ああ、オーガとたった三文字だからな。偶然被ることはあるだろう」


「ふむ……ところで片方の世界でしか知られていない者もいると言っていたが、例えば誰かな?」


 カルラの問いに、ジーラが少しばかり考えて答えた。


「……そうだな。例えば、カリン、デルキアの姉妹はあちらの世界では名前を聞かなかったな」


 カルラは意外そうな顔となった。


「あの二人がか……ふむ、意外な名前だな。だがそうなるとやはりオーガもあちらの世界では既にある名前だったのかもしれないな」


「ああ、そもそも片方の世界でしか知られていない者の方が圧倒的に多いしな。なにせあちらの世界では、宗教の数が山ほどもあるもんでな。全部足したら神や悪魔も山ほどいることになってしまうんだよ」


「宗教が山ほどか……なぜそんなにあるのだ?」


 カルラの問いに、ジーラが肩をすくめた。


「さあな。そんなことわたしに聞かれてもわかるはずがない」


 カルラは仕方ないといった表情を見せた。


「そうだな。わたしも、何故こちらの世界では宗教の種類が少ないのかと問われても、答えようがないのと一緒だな」


「そういうことだ。さすがに全世界の歴史に精通しているわけではないのでな」


 ジーラは両手を広げて笑いながら言った。


 するとカルラも、同様に笑みを浮かべてうなずくのだった。

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