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第千三百三十五話 断念

「それにしても参ったな……アスタロトに話しを聞けば、もうそれで地上に戻れると思ったのに……」


 ガイウスがガックリと肩を落として力なく言った。


 するとカルラもガイウス同様に思っていたのか、溜息混じりに言ったのだった。


「本当にな……いつになったら戻れることやら……」


 するとそこで、ガイウスが大きく息を吐き出した。


「まあここでこれ以上ウダウダしていても始まらないし、アスタロトの奴を探しに行くとするか」


 ガイウスが肩をすぼめて仕方なさげにそう言うも、カルラがそれに待ったを掛けた。


「だが行く先の心当たりでもあるのか?アスタロトは何処へ行くとは言っていないんじゃないのか?」


 カルラの問いに従者のラップが答えた。


「はい。行く先に関しましては、アスタロト様は何も仰ってはおりませんでした」


 カルラはうなずくと、カリンへと向き直った。


「カリンはどうだ?お前はアスタロトの妻なのであろう?ならば行く先に何か心当たりは無いかな?」


 カリンは可愛らしい顔を歪めて考え込んだ。


 だが考えはまとまらなかった。


「……わからないわ……だってアスタロト様は普段、滅多に外出なんてなさらないもの……とてもじゃないけど、見当もつかないわ……」


 カルラはうなずき、次に皆をゆっくりと見回して言った。


「他の誰でも構わない。アスタロトの行く先について、何か心当たりのある者はいるか?どんな些細なことでもいい、あれば言ってくれ」


 だが手を挙げる者はいなかった。


「ふむ……となると、打つ手無しか……」


 カルラが至極残念そうに肩を落とした。


 それと呼応する様に、ガイウスが大きな溜息を吐いた。


「う~ん、さっきは探しに行くって言ったけど、心当たりがまったくないんじゃ、探しようがないよ……」


「うむ、これでは大海に浮かぶ豆粒を探し出すようなものだ……闇雲に探したところで、とてもではないが、見つかりはすまい」


 するとガイウスが大きく首を縦に振って、同意した。


「だよね~。じゃあどうしようか?」


 ガイウスの問いに、カルラが仕方なさげに答えた。


「仕方あるまい。地上に戻るとしよう」


「でも、そうなると……当初の目的はまったく達せられなかったってことになっちゃうね……」


「そうだな。だが多少得るものはあった。それで今回は良しとしよう」


「う~ん、まあそうだね。何といっても魔装鎧が手に入ったしね……よし、じゃあ地上へ戻ろう」


 ガイウスが納得のうなずきをした。


 ガイウスは当初の目的が果たせなかったことに少々気落ちしていたものの、短期間とはいえすでに恋しくなっていた地上へ戻れることを思い、心が少し軽くなるのであった。

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