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第千三百二十九話 成長

「……くそっ……力が……出ない……」


 ガイウスはうつ伏せに倒れ、地面に顔を埋めながら、悔しそうになんとか言葉を吐き出した。


 だがそれ以上は何も出来ず、ピクリとも動けない状態となった。


 そこへ、またもサタンの追撃が迫ってきた。


 ガイウスは動かぬ身体を、またも魔法で動かそうと必死で試みた。


 だが、今度は動かなかった。


(……意識が集中出来ない……これでは魔法の発動が出来ない……これまでか……)


 ガイウスはついに心中において諦めた。


 だがその時、ガイウスの身体から漆黒の靄が湧き上がった。


 靄はたちまちのうちにガイウスの身体をスッポリと覆い隠したかと思うと、次第に中心へ向かって集まりだし、ついには魔装鎧の表面へと吸収されていった。


 だがそこへ、サタンの容赦ない攻撃が襲いかかった。

 

 サタンは上空より巨大な右足を振り下ろし、遠慮会釈無くガイウスを踏みつけた。


 だが……。


 サタンが踏みつけた右足をそっと上げると、そこには魔装鎧を纏ったガイウスの無事の姿があった。


 もはやこれまでと諦めていたガイウスは、思わず自らの身体を丹念に眺め回した。


 そして自らの四肢をゆっくりと動かし、無事を確認したのだった。


「……マジか……あのとんでもない物理攻撃を、今度は耐えたぞ……」


 すると、ガイウスを上から見下ろすサタンが、重々しい声音でもって言い放った。


「魔装鎧が成長したのだ。魔装鎧は、戦いの中で成長する。故に先程は我の物理攻撃に為す術が無かったが、今はそうではあるまい?」


 ガイウスは大きくうなずいた。


「……あ、ああ。それに、身体がだいぶ動くようになった。これも?」


 今度はサタンが大きくうなずいた。


「そうだ。魔装鎧は治癒能力も長けている。防御に関しては、オールマイティーだと言えよう」


 ガイウスは驚きの表情を浮かべた。


「……それは凄いな……じゃあ下手な治癒魔法を自分に掛ける必要がないってことか……」


「そうだ。だが、おそらくはまだそれ程効く治癒魔法ではあるまい」


 ガイウスはうなずき、自らの身体を眺めた。


「……確かに。多少身体を動かせるようにはなったけど、とてもじゃないけど歩ける状態とまでは、いってないね……」


「そうであろう。それについても、今後だ。今後いかに戦いの中で成長させるかが重要なのだ」


「なるほどね……改めてこいつは凄い代物だね……成長さえさせることが出来たら、ほとんど無敵かも……」


「そうだ。特にお前にとってはそうであろうな」


 ガイウスがすかさずサタンの言葉に反応した。


「俺にとっては?それはどういう意味で?」

 

 思わず聞き返したガイウスに、サタンはニヤリと笑うのであった。

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