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第千三百四話 勿体ぶる

 ガイウスの切り込みに、サタンは大いに笑った。


「……そうだな。少なくともルキフェルの側に立つことはあるまい……」


 ガイウスは小首を傾け、皮肉な笑みを浮かべながら言った。


「俺の側に立つとは言わないんだ?」


 ガウスが少しばかり冗談めかしながらも、目だけは真剣な光を宿しながら言った。


 サタンはそれを承知か、知らずか、しばらく沈黙してから言ったのだった。


「……細かな未来のことは判りかねるのでな……」


 ガイウスは思わず苦笑を漏らした。


「細かな未来って……自分に関することだぜ?」


「そうだな。だが我はこのように囚われの身であることだしな。先のことなど何も判らぬよ……」


「ふ~ん、何かうまいこと逃げた感じだね?まあいいけどさ。とりあえず敵にはならなそうだし、良しとするよ。それに……宿命ね……一応肝に銘じておくとするさ。虹の鎧はあまり多用しないようにってことね?」


「多用するのは構わん。だが頼りすぎればいざという時に困ると言っているのだ」


 ガイウスはうなずき、言った。


「判った。対ルキフェル戦では使えない可能性が高いってことだよね?ならば対ルキフェル戦用に、何か別の防御魔法を習得しておくことにするよ」


 サタンは大いに笑った。


「簡単に言うではないか。だがまあ、そういうことだ。どの様にして習得出来るかは判らぬが、そうしておくに越したことはあるまい」


 サタンが重々しい声音で言った。


 ガイウスはうなずき、重ねて言ったのだった。


「……ちなみに、あんたがそれを授けてくれるってことはないのかな?」


 ガイウスがまたもいたずらっぽくウインクした。


 サタンはまたも大いに笑い、ガイウスに向かって実に楽しそうに言ったのだった。


「……そうだな。一つあると言えば……あるな」


 ガイウスはすかさず飛びついた。


「おお!じゃあ教えてよ。勿体ぶらずにさ」


「現金な奴だな。だがまあいい。教えてやるとしよう」


 あっさりと快諾するサタンに、ガイウスが凄い勢いで礼を言った。


「マジ!?ありがとう!助かる!サタンって実は良い奴なんだな!?今の今まで誤解していたよ!アスタロトのことといい、これといい、マジで感謝するよ!」


 勢い込むガイウスに、サタンはこの日一番の大笑でもって応じた。


「面白い奴よ。だが、タダで教えるとは我は言っていないぞ?」


 するとガイウスの顔が途端に曇った。


「……ええ~?何~?結局勿体ぶるんじゃん……いいじゃん、普通に教えてくれればさ……」


 拗ねるガイウスに、サタンは笑い混じりながらも重々しい声音でもって言うのであった。

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