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第千二百八十八話 優柔不断

 デルキアに続いてカリンも言った。


「そうなの。本気でやってほしいのよね。殺す気で」


 するとさらにカルラも続いたのだった。


「そういうことでな。是非とも殺す気で頼む」


 するとついにガイウスがぶち切れた。


「殺す気、殺す気って、そんなに皆で念を押さなくたっていいじゃないかよ!」


 だがこれにカルラが表情を変えることなく反駁した。


「何を言っている。殺す気でなければ意味が無いと言っただろう。お前の本気を引き出すためには、相当な実力者が殺す気でかからなければならないのだ。だからサタンには殺す気でかかってもらわねば困る故、我らで念を押しているんじゃないか」


 するとまたもガイウスがぶち切れた。


「今一人で何回殺す気って言ったんだよ!もう完全にわざとじゃん!ふざけているよね?」


 するとカルラが腰に両手を当てたいつものポーズで、言い放ったのだった。


「ふざけているに決まっているだろう。お前はからかうと面白いのでな」


 するとガイウスが憤懣やるかたないといった様子で食ってかかった。


「冗談じゃない!こっちはこれから死ぬかもしれないんだぞ!?」


 するとカルラの顔からスッと笑みが消えた。


「だからだ。ここから先は本当に命がけとなる。だからだよ……」


 するとガイウスの顔がスーッと青ざめた。


「……やっぱりマジなの?本当の本気で、命がけでやるの?」


 身震いしながら訴えるような眼差しのガイウスを、カルラが冷厳とした視線でもって切り捨てた。


「当然だろう。お前はここまで来て、まだそんなことを言うのか?」


 カルラのあまりにも冷たい物言いに、ガイウスはさらに強く身体を震わせながら訴えた。


「いや、だって!命がけなんだよ?事ここに至ってではあるけど、そりゃあやっぱり踏ん切りは中々付かないよ!」


 すると横からデルキアが割って入った。


「うだうだうだうだ、いつまでも!もういいカルラ!こいつの腹が決まろうと、そうでなかろうと、そんなこともうどうでもいい!とっとと始めてしまえ!」


「いや、ちょっと!腹が決まるまでは待ってよ!そうじゃなかったら、すぐに死んじゃうよ!」


「だったらすぐに死んでしまえ!これ以上いつまでもお前の優柔不断に付き合ってられるか!」


 デルキアのかなり乱暴な物言いであったが、すぐさまカルラが同意した。


「そうだな。どうせガイウスのことだ。いつまでも引っ張ったところで腹など決してくくるまい。ならばデルキアの言うとおり、とっとと始めてしまうのがいいだろうな」


 するとガイウスが、かなり慌てた様子で反応をするのだった。

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