第千二百八十七話 お願い
「そう思うのも自由よ。人の子よ、お前は我と違って何に対しても完全に自由なのだからな」
サタンが何かうらやましげに言った。
するとカルラが、物憂げな表情となって言った。
「完全な自由か……さて、わたしはそんなものは持ち合わせていないと思うがな?」
するとサタンが、愉快そうな思念を送った。
「そうか、人の子よ。完全なる自由ではないか……ふむ、それは見事な見識といえるであろうな」
するとカルラが軽く肩をすぼめた。
「サタンにそう言われると、少々こそばゆいな。」
すると横合いからガイウスが、からかうように口を挟んだ。
「何照れてんの?カルラともあろう者がさ」
するとカルラが、即座に反応した。
「うるさいぞ、馬鹿弟子がっ!」
「いやいやいやいや、軽くからかっただけでこの反応、恐ろしいわ~」
「何が恐ろしいだ。ほんの少しも思っていないくせに。お前、もしかしてルキフェルに似ていないか?」
するとガイウスの身体がブルッと震えた。
「勘弁してくれよ。あんな奴と似ているなんてさ!」
「ふん!だが何とは無しだが、結構似ていると思うぞ」
「似てない似てない。絶対に似てないって!いやもうホントにそれだけは止めてくれよ!」
ガイウスが心底から震えながら言った。
カルラはガイウスの反応があまりにも激烈であったためか、これ以上は言うのを控えた。
「さて、ではサタンよ。頼みを聞いてもらえないか?」
「ほう、何かな?」
「なに、ここにいるガイウスと戦ってはもらえないかと思ってね」
するとサタンが高らかに哄笑した。
「我はこのとおり動けぬ身ぞ?」
するとカルラも同様に笑い声を上げた。
「それは承知している。だが、他に戦う方法があるのだろう?」
「ほう……他の戦い方とな?」
「そうだ。わたしもデルキアたちから話しを聞いて知っているのでな。是非ともお願いしたいのだ」
「ふむ……そうか。ではやるとしよう。だが目的はなんだ?」
するとカルラが嫌そうな顔をしてふて腐れているガイウスを顎でクイッと指し示した。
「この馬鹿を鍛えてやってほしいのだ」
ガイウスはさらに不機嫌に顔を歪めたものの、言葉を発することはなかった。
その表情をサタンが感じ取ったのかどうか、またも大きく哄笑したのだった。
「よかろう。だが我がやるとなれば手加減は出来ぬぞ?それでもよいのか?」
するとここでカルラに替わってデルキアが大声を張り上げたのだった。
「のぞむところだ!我々だとどうしても手加減してしまうのでな。殺す気の奴がやらないと意味がないのだ!」




