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第千二百八十三話 完全なる死

 ルキフェルは鷹揚にうなずき、カルラに問いを促した。


 カルラは無言でうなずき、早速問いかけた。


「では問う。イリスの棺の中に眠っているのは、正真正銘イリスで間違いないのかな?」


 するとルキフェルは言葉を発さず、先程同様に鷹揚にうなずいた。


 カルラはそれを、またも肯定と受け取った。


「そうか。では重ねて問う。イリスは何故亡くなったのか?まさか寿命が尽きたというわけではあるまい?」


 するとルキフェルが軽く笑った。


「……そうだね。多分だけれども、わたしたち神には寿命は無いと思うよ」


 ルキフェルの回答に、カルラが間髪を入れずにすかさず問いを重ねた。


「では誰が殺したのか?寿命が無いというのならば、必ず誰か殺した者がいるはずだが?」


 するとルキフェルの笑みに、ほんのりと翳りが射した。


 それを百戦錬磨のカルラが、見逃すはずが無かった。


「……あなたか。イリスを殺したのは、どうやらあなたらしいな?」


 あまりにも直接的なカルラの問いであったが、ルキフェルは何ら咎めることなく静かにうなずき、カルラの考えを肯定したのだった。」


「……そうだ。よく判ったね?」


 ルキフェルの口調は静かではあったものの、その中にはほんのわずか哀しみが混じっているようにカルラには思えた。


 だがここでそれを言う必然性をカルラは感じなかった。


 そのため、カルラはそのことには一切触れないのであった。


「……何となくだ。どうやら神々の中で、あなたが最強らしいのでね……他の神々を殺せるとしたら、あなたぐらいなのじゃないかと思ったのだ……」


 するともっともらしくルキフェルがうなずいた。


「なるほど。確かに君の言うとおり、神の中ではわたしが最強で間違いない。故に論理的帰結としてそういう結論になるのは当然といったところか……」


 ルキフェルはカルラの言説に納得したようであった。


 そのためカルラは、内心でホッと胸を撫で下ろしたのであった。


「ところで、イリスの死は完全なものだったのであろうか?もしかしてアスタロトたちと同様に、仮死状態になっているだけではないのか?」


 するとルキフェルが、首を横に大きくゆっくりと振った。


「……いや、復活することは有り得ないな。故に君の言うところの、完全なる死ということになるね」


「……そうなのか。ガイウスによる透視では、女性の身体が中に横たわっているということだったが……」


 するとルキフェルが、間髪を入れずに言ったのだった。


「そう、その通りだ。だがそのイリスの腹部には、大きな穴が空いていただろう?」


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