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第千二百七十七話 嫌い

「ガイウスの弱点を作ろうとしたのか……」


 カルラが渋面を作って呟くように言った。


 するとすぐにルキフェルが反応した。


「君たちはずいぶんと深読みするんだね?」


 カルラはルキフェルの顔からは何の感情も感じ取れなかったものの、意図は明らかであると思い、重ねて問いかけた。


「深読みではないのではないかな?サタンの考察通り、やはりガイウスの弱点を作るためのものだったと思うが?」


 するとルキフェルが柔らかな笑みを浮かべた。


「先程も言ったことだが、そう思うのは君たちの自由だよ」


 すると今度はガイウスが不敵な笑みを浮かべつつ、ルキフェルに問いかけた。


「ふ~ん、ルキフェルともあろう者が、わざわざ俺に弱点を作るために、こんな地獄の底くんだりまで来るとはね」


 ガイウスのかなり挑発的な物言いであったが、ルキフェルは顔色一つ変えずに、ただ柔らかな微笑を浮かべるのみであった。


 ガイウスは、そんなルキフェルの態度に対して、大いに鼻白んだ。


「ふん。黙して語らずか……何か一々腹が立つよなあ~」


 するとルキフェルが軽く口角を上げてニヤリと笑った。


「ずいぶんと嫌われたものだね?」


 するとガイウスがすかさず言い放った。


「まさか好かれていると思ってないよね?」


 ルキフェルは両手を大きく広げ、大袈裟に肩をすくめた。


「そうだね。まあ好かれているとは思っていないよ」


「だよな。ていうかそれ、俺だけじゃないみたいだぜ?」


 ガイウスはそう言ってデルキアたちを顎で指し示した。


 するとその意図を察したのか、すぐさまデルキアがルキフェルに向けて大声で言った。


「ああ、わたしはもちろんこいつが大嫌いだっ!!」


 すると傍らのカリンも、すかさず後を追うように言った。


「当然ながらわたしもね」


 すると再びガイウスが引き取って言った。


「だ、そうだ。それに、サタン!あんたはどうなの!?」


 ガイウスが頭上高くを見上げ、大声を張り上げて問いかけた。


 するとサタンが、実に愉快そうな思念を皆に向けて発したのだった。


「……そうだな。我もまた同じく……と言っておこうか……」


 するとガイウスが、それ見たことかと言った表情となった。


「ほ~らな、聞いたろ?ルキフェル。お前をよく知らないカルラ以外の全員が、お前を嫌いだってよ」


 ガイウスが、どうだと言わんばかりの表情でもって言った。


 だがルキフェルの表情はそれでも一向に変わらないのであった。


 ガイウスは、そんなルキフェルの表情を見るや、苦虫を噛みつぶしたような顔付きとなるのであった。

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