第千二百五十三話 デルキアの悩み
カリンの悪魔的な微笑を見て、ガイウスの頬はさらに引き攣った。
「……あのう……それは……やっぱり、そういう意味で?……」
するとカリンの笑みがさらに深まった。
「そうよ。それ以外に取れる?」
「……ですよね。やっぱ……」
「まあ精々頑張りなさい。それでなんとかポテンシャルを引き出すのね。でないと……殺されるわよ?」
カリンが満面の笑みで言った。
ガイウスは頬の引き攣りをそのままに、顔面蒼白となった。
「……やっぱ、殺されますかね?……」
カリンは笑みを全開に、楽しそうに言った。
「もちろんよ。だから……が・ん・ば・っ・て♡」
「……はあ、まあどうせ嫌がったところで問答無用で連れて行かれるんだろうし……がんばりますけどね……死にたくないし……」
「そうね。誰だって死にたくないわよね。じゃあ頑張りなさい。んで、アスタロト様をなんとしても復活させるのよ」
するとガイウスが納得の表情を浮かべた。
「……ああ、そういうことね。俺のことなんて本当は全然心配してなかったのね……」
するとカリンが満面の笑みで小首を可愛らしく傾けた。
「そうよ。当たり前じゃない。あんたのことなんて、ちっとも心配なんてしてないわよ」
カリンが顔色一つ変えずに言い放つのを、ガイウスはほとんど上の空で聞いていた。
「……だろうね~。まあそうでしょうとも……わかっちゃいたけどね~。やっぱりね~……」
するとカルラが面倒くさそうに二人の間に割って入った。
「……もういいか?ではカリンではないが、早速出発するとしよう」
するとデルキアが再び疑問を呈した。
「本当に行くのか?サタンの奴はどうでるか判らんぞ?下手すりゃガイウスを奪われてそれで終わりってことも有り得るぞ?」
これにカルラが返答した。
「無論その可能性もある。だがそれは、さっき出発前に確認したことでもある。今更改めて言い出す必要はないだろう」
「まあ、それはそうなんだが……本当にいいのかと思ってな?」
「いい……のだと思う。ともかくアスタロトを復活させねば、先へ進めないのでな。となれば必然的にサタンの元へ赴かねばなるまいよ」
「それはそうだが……ガイウスを奪われては元も子もないだろう?」
「それはそうだ。だが……他に進むべき道もない。それにサタンによってガイウスのポテンシャルが引き出される可能性もあるしな」
するとデルキアがキャラに似合わず静かに考え込んだ。
「……う~ん、確かにそれもそうだな。ガイウスがポテンシャルを発揮して、そんでアスタロトも復活となったら最良のシナリオだけれども、そうなる可能性はあるんだしな……」
デルキアは独り言のようにそう呟くと、大きくうなずき、一人で納得するのであった。




