第千二百四十四話 オーラ
「判っていたって言ってんだろうが!!」
デルキアはなおも激しく抵抗した。
だが対するカリンも、負けじと応戦した。
「いいえ!絶対よ!絶対に判ってなかったわ!!」
「判ってた!!」
「判ってなかった!!」
「判ってたって言ってる!!」
「判ってなかったって言ってんでしょ!!」
「いい加減にしろ!!」
ここでついにカルラが、大音声でもって両者の不毛な争いに割って入った。
「まったく、いい加減にしてほしいものだ。またいつ何時アウグロスが眠りにつくか判らないんだぞ?貴重な時間だという自覚を持ってくれ!いいかな!?」
するとさすがのデルキア達が大人しく引き下がった。
「わかったよ……悪かった」
「そうね……確かにアウグロスと話せる時間は有益だったわね。ごめんなさいカルラ。話しを進めて?」
するとカルラが大きく深呼吸しながらうなずいた。
「わかった。ではアウグロス、話しを続けさせてもらう」
カルラがそう告げると、アウグロスが微笑みながら口を開いた。
「ああ。そうだな。だが、それにしてもよくガイウスのオーラの特殊性に気付いたな?」
アウグロスの問いに、カルラがニヤリと笑みを浮かべながら答えた。
「まあな。確かに見た目はほとんど変わりがない。だが奴のオーラは身体の中から沸き上がるように放出されているように見えた。あれだけ巨大で分厚いオーラだから確かに見えにくいのだが、明らかに我らの纏わせるようなオーラとは違うものだった」
「そうだな。その通りだ。ガイウスの……まあ生前のわたしもだが……オーラはかなり特殊なものだと思う。少なくともわたしは我ら以外で同じ様なオーラを見たことはない」
するとカルラもうなずいた。
「わたしもだ。デルキア達はどうだ?」
カルラに問われ、デルキアが口を開いた。
「ないね。あんな変な感じのオーラなんて見たことないよ」
次いでカリンも同調した。
「わたしもないわ。ていうか、あれってそもそもの作りからして違うんじゃない?ハッキリ言って別物じゃないかしら?」
するとアウグロスが笑みを零した。
「わたしもその意見に同感だ。恐らくだが、君たちのものをオーラと呼ぶのならば我らのはまったくの別物だろう。逆に我らのをオーラと呼ぶのならば、君たちのは……そうだな。魔法の変形のようなものと言えなくもないな」
するとカルラが深く息を吐きながら答えたのであった。
「確かにな。恐らく後者が正しいだろう。我々のはあれを見る限りオーラと呼べるものではない気がする。所詮、魔法の延長に過ぎんということだ。だがガイウスのは……そう、正にオーラと呼ぶにふさわしいものだとわたしも思う」




