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第千二百四十二話 歴代最強

「……それに……なんだ?」


 言葉を区切るアウグロスを継ぐように、カルラが問うた。


 するとアウグロスがニヤリと笑みを零しながら答えた。


「あのオーラ自体も本来のものからすれば、あまりにも物足りないものに過ぎない」


 アウグロスはそう言うと、軽く首を傾け、探るような視線をカルラたちに送った。

 

 カルラたちは少しゾッとしたような表情となり、改めてアウグロスへと問いかけるのであった。


「……あれもか……本来はあんなものではないと?それはつまり、貴方が生前に出していたオーラの事を言っているのだな?」


 するとアウグロスが首を横に振った。


「そうではない。いや、確かにわたしが生前出していたオーラもあの程度のものではなかった。だが、わたしが言いたいのはそういうことではない。オーラとは、転生を繰り返せば繰り返すほど強大になっていくものだということさ」


「では、現在のガイウスのオーラが最強だと!?」


「その通りだ。そして来世がさらにそれを上回り、その次の来世がそれすらをさらに上回るということなのだ」


 すると驚きのあまりデルキアがカルラに変わって、アウグロスに問いかけた。


「ということは、お前が最弱ということか?」


 かなり失礼なデルキアの質問ではあったが、アウグロスは気にする素振りも見せずに鷹揚に笑って答えたのだった。


「ああ。潜在能力的にいえばわたしのオーラ力は歴代最弱だな。だが、わたしが知る限りオーラを見事に使いこなしていた代は、ほとんどいなかった。なので実力的に言えば、わたしは最弱ではなかったと思うがね」


 するとまたも替わってカルラが問うた。


「つまり今のガイウスと同じく力を持て余していた代が多いのだな?」


「そうだ。代々上がっていくはずのオーラを使いこなせず、人生を終えた代の方が遙かに多いな」


「……で、ガイウスは鍛えようによってはオーラ力が上がるのだな?」


 するとアウグロスが笑みを浮かべて大きくうなずいた。


「当然だ。教え方が良ければ、歴代最強のオーラ力を発揮することのなろうさ」


「……歴代最強……それは当然、メリッサ大陸を人類史上始めて征服した貴方を、遙かに上回るものだと考えていいのだな?」


「無論だ。もし仮にその持てる潜在能力を全て発揮させたなら……わたしなど足元にも及ばぬものとなろう」


 するとこれにはカルラだけではなく、デルキア達まで驚きの表情を浮かべた。


「へえ~!それは凄いな~!原初皇帝アウグロスを遙かに凌ぐのか~、ガイウスの奴相当凄いじゃないか」


 デルキアは素直に感嘆した。


 だがその傍らのカルラは、まったく浮かない顔をしているのであった。

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