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第千二百三十三話 或る場所

 1



 突如、突撃を敢行したデルキアたちに対し、『三人目』も同様に二人に向かって突撃を掛けた。


 そのため三者は、かつてアスタロト邸の大広間であったところのほぼ中央付近において、激しく衝突した。


 その結果、凄まじい爆風が辺り一面に吹き荒れた。


 爆風は瓦礫を巻き上げ、吹き飛ばして、既に破壊されたアスタロト邸の被害を大きく拡大させた。


 だが三者の戦いは衝突しただけでは当然終わらず、次々に爆風を作り出しては被害規模を広げていったのだった。


 すると、その様子を或る場所(・・・・)から、ジッと目を凝らして伺う者の姿があった。


 カルラである。


 異空間に逃れていたカルラは魔法でもって窓を開き、三者の戦いを見守っていたのであった。


「……さて、とりあえずは静観……といったところだが……この後どうするか……あの『三人目』の奴はだいぶ面倒な奴だからな……無視してやり過ごして、次に出てくるであろうアウグロスまで、この異空間でひたすら待つつもりであったが、一向にアウグロスは出て来んし、出てくる気配すらない……はてさて、どうしたものか……」


 カルラはそう独りごちると、眼下に広がる戦いの光景を困った表情を浮かべながら、静かに見下ろすのであった。



 2



「くっ!やるな!」


 デルキアが、『三人目』の放った左フックを両腕をクロスさせてガードしながらも、体重差から軽く吹き飛ばされながら呟いた。


 するとすぐに傍らにカリンが飛んできて、すかさずデルキアに声を掛けた。


「なに油断しているのよ!?あいつ一応ガイウスの身体を持っているんだからね?てことはあいつの魔法総量は同じく無限ってことよ。わかってるの?充分に考えてから戦わないと、やられるわよ?」


 するとデルキアがすかさず反論した。


「そんなことは一々言われんでもわかっている!」


 だが当然のようにカリンがさらに反駁した。


「嘘つきなさいよ。絶対わかってなかったわ」


 カリンの物言いに、デルキアが心底苛ついた顔をした。


「わかってるって言っているだろ!?」


「わかってな……」


 苛立ちまくるデルキアの発言に、再びカリンが反駁しようとしたその時、無言で『三人目』が二人に向かって凄まじい速度で突っ込んできた。


 二人は慌てて離れ、あわや衝突の危機をなんとか回避した。


 すると『三人目』が二人の間をもの凄い速度で通り抜けた。


 『三人目』は通り抜けた後すぐに急ブレーキを掛けて中空に止まると、おもむろに振り返って言ったのだった。


「ふん、馬鹿なお前たちの口喧嘩中に、まとめて二人とも始末してやろうと思ったものを……惜しいことをした」


 『三人目』はそう言い捨てると、ニヤリと恐ろしげに笑うのであった。

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