第千二百二十七話 後退
するとカルラが即座に反応した。
「ほう、どうなると言うんだ?教えてもらおうじゃないか!」
カルラの挑発により、『三人目』の怒りが爆発した。
「覚悟しろ!!女!!」
『三人目』はすかさずオーラを全開にした。
するとカルラも即座にオーラ全開で対抗した。
両者のオーラはたちまち激突し、凄まじい突風が周囲にところ構わず吹き荒れた。
その風圧に押されたのか、両者の身体がズルズルと、床と靴とが擦れる音を残して少しずつ離れていった。
「……くっ!……さすがにやる!……」
カルラは思わず呟いた。
すると『三人目』も同様にカルラに対して舌を巻いた。
「……貴様!……この力……一体、何者だ!?……」
カルラは圧に押されてジリジリと下がりながら、答えた。
「ふん!知らなかったのか?お前の現世、ガイウスの偉大な師匠さ!」
すると『三人目』もジリジリと下がりながら、カルラをせせら笑った。
「はん!自分で自分を偉大だと言う奴に碌な奴はいないぞ?」
だがカルラは笑みを零しながら、『三人目』を挑発するように応じた。
「だが実際にわたしは偉大なのさ。お前みたいな荒ぶるだけの馬鹿者とは違ってな!」
「なんだと?誰が馬鹿者だってんだ?」
「聞こえなかったのかい。お前だよ」
カルラはそこでさらにオーラを爆発させた。
その威力は圧倒的であり、『三人目』はその圧力によって瞬く間に十M程も後退した。
だが『三人目』もカルラに応じてオーラを増幅させた。
すると両者のオーラが再び激突し、先程よりも凄まじい突風が吹き荒れたのだった。
「……ふん……そう言えば奴の魔法総量は無限だったな……」
カルラはそう呟くと、突風が荒れ狂う空間ながらも、まぶたを閉じて静かに考え込んだ。
そしてしばらくすると、突如カルラがカッと目を見開いた。
すると、突然カルラの姿が蜃気楼のように揺らめいた。
すると『三人目』が、瞬間的に後ろに大きく跳んだ。
「ちっ!何をしやがった!?」
『三人目』は後ろに跳びながら、揺らめくカルラに対して叫んだ。
だがカルラは何も答えず、ただ揺らめくだけであった。
すると『三人目』が着地すると同時に今度は右方向に向かって跳んだ。
そして次に着地するや、今度は左に向かって跳んだのだった。
『三人目』は動物的な勘でもって危険を察知し、一つ所にとどまってはまずいと思い、移動し続けたのだった。
「……くっ!……あの女、何するつもりなんだ?……」
『三人目』は焦りの表情を表に現わし絶えず移動し続けながら、次なるカルラの手を必死に予想するのであった。




