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第千二百四話 波打つ空間

(……いくらなんでも遅すぎるだろ!)


 ガイウスはカルラが消えて十五分ほども経つ頃、ついに心中で怒りを爆発させていた。


(くそっ!どうやらこれは俺のメンタルを削ろうっていう作戦だな?いつ来るかわからないカルラの攻撃に俺を怯えさせて、心を消耗させようって算段だ……やられた!だが……かといって気を許すわけにもいかないぞ……デルキアたちの攻撃は今も続いているし……)


 ガイウスはカルラに対して心底腹立たしく思いながらも、自分がかなり追い込まれていることに気付いて思い悩むのであった。


(どうする?……このままカルラを待っていたら、いずれ心をやられてしまうだろう。かといってデルキアたちを制圧出来るわけでもない……となれば……ちっ!打つ手がないじゃないか!)


 ガイウスは心中で大きく舌打ちをすると、再び周囲に注意を張り巡らした。


 だが案の定カルラの姿はどこにも見当たらなかったのだった。


 するとデルキアたちの攻撃により、ガイウスの前面の防御壁が突如として破られた。


 ガイウスは慌てて意識を集中し、防御壁の再構築に必死となった。


(……ふう……今のはまずかった。完全に意識がカルラにいっちゃってた。デルキアたちを舐めてかかったわけじゃないけど、やっぱり今姿が見えないカルラの方がどうしても気にかかる……くそっ!どうする?どうすればこの現状を打開できるんだ?)


 ガイウスは、何度目かの独白を心中でした。


 すると突然ガイウスの右前方の空間が、風に波打つ水面の如く揺らめいた。


 ガイウスは驚くと同時に、意識を極限まで集中した。


(ついに来たか!カルラ!)


 ガイウスは右手を激しく動かし、揺らめく空間から飛び出してくる何かに備えて、防御壁を分厚くしようと試みた。


 だがその揺らめく空間から飛び出してきたものは、まったくの予想外のものであった。


「くらえっ!」


 揺らめく空間を切り裂き、飛び出してきたのはデルキアであった。


「なにっ!?」


 ガイウスは思わず叫び声を上げると同時に、右前方の衝撃に耐えるため両足を踏ん張った。


 すると次の瞬間、デルキアが急激に方向転換し、ガイウスの後方へと回り込んだ。


 ガイウスは先程後背の防御壁を厚くしたため、特に新たに防御壁を作ることはせずに、ただ前方と後方両方の攻撃に対処出来る様に身体を半身の姿勢にしたのだった。


「大丈夫。持つはずだ!」


 ガイウスが思わず口にするや、デルキア渾身の右ストレートが防御壁に炸裂した。


 だがガイウスの予想に反し、デルキアの右ストレートはガイウスの幾重にも重ねられた防御壁を次々にぶち破り、そのままの勢いでもってガイウスの顔面へと命中するのであった。

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