第千百五十七話 立場
「まあとにかくさ、復活したばかりなんだし、ゆっくり休んでよ」
ガイウスが優しげに声を掛けた。
するとデルキアが怪訝そうな表情となって言い返した。
「……今の今まで寝ていたんだぞ?別に休む必要なんてないだろう」
「……いや、でも……そう言えばカリンも全速力で走って行ったな……」
「当然だ。寝まくってたんだからな。元気が有り余っている」
「……そういうもん?でもアスタロトは休むっていって別室へ行ったよ?」
「ふん、アスタロトのことなど知るか。わたしはわたしのことを言っている」
「ああ、まあそうなんだろうけどさ……一応同じ立場じゃん……」
「なに?わたしとお前が同じ立場だと?」
デルキアがこめかみに怒りマークを浮かび上がらせながら言った。
するとガイウスは大慌てで両手を開いてブンブンと横に振った。
「いや、違う違う!デルキアとアスタロトがだよ。同じ様に復活したばかりでしょ?俺はそれを言っただけだよ。俺とデルキアが同じ立場だなんて一言も……」
するとデルキアがガイウスの言葉を遮って言った。
「ふん、どうだか……お前、以前からわたしのことを軽く見てないか?」
「軽くなんて見てない!見てない!」
ガイウスは再び両手を思いっきり振りながら否定した。
だがデルキアは、じとーっとした疑いの眼差しをガイウスへと送るのだった。
「……お前は自分の力を過信しているところがあるからなあ~」
すると二人のやり取りをニヤニヤしながら見ていたカルラが話に割り込んできた。
「やはりそう思うかい?」
デルキアは突然の闖入者に対し、ギロリと睨みを効かした。
だがカルラはたじろぐことなくその視線を正面から受け止めた。
するとガイウスが、仕方なしといった感じでカルラをデルキアに紹介するのだった。
「……ああ、デルキア。こちらは俺の師匠のカルラ。人間界の大魔導師だよ」
するとデルキアが眉根を寄せて自らの記憶を辿った。
「……ああ、その名は聞いたことがあるな。うん」
するとこれにはガイウスが驚いた。
「えっ!?そうなの?アスタロトもそうだったけど、デルキアもカルラの名前知ってたの?」
「ああ、聞いたことがあるぞ」
「へえ~アスタロトはともかく、デルキアにまで知られているなんて、カルラ凄いね」
するとデルキアが再びこめかみに怒りマークを浮かばせながら言った。
「おい、アスタロトはともかくって何だ?何でアスタロトは知っていても当然だけど、わたしが知っていると驚くんだ?あん?言ってみな?」
デルキアの思わぬ追及に、ガイウスは額に汗を浮かべるのであった。




