第千百三十六話 タッグ
「……ふん、まあ面白そうではあるな」
ガイウスの提案に、カルラが同意した。
「よし、決まりだ。ならアスタロトたちをとっとと復活させて観戦しようぜ」
「簡単に言うな。まだ復活させられると決まったわけではないんだぞ?全くお前という奴は……」
「いやまあそうだけどさ、次の目標があった方が力が出ると思うんだよね~」
すると傍らで聞いていたドーブがクスリと笑った。
「……ガイウス、どうやらお前は相変わらずのようだな。そんなことではデルキア様を復活させ次第、カルラ殿と同様にデルキア様にも怒られるぞ」
するとガイウスがギョッとした表情となった。
「……あ、いや……それは……」
するとそんなガイウスの様子を見て、カルラが鼻を鳴らした。
「ふん!どうやらわたしはデルキアとタッグを組んでお前を鍛えなきゃいけないようだね?」
カルラが凶悪な面相となってガイウスを睨んだ。
するとガイウスが心底怯えた表情を浮かべた。
「……いや、そんな……それは……いくらなんでも殺生だよ……」
「何を言っているんだい。お前の自業自得だよ。何を言ったってお前の性根が変わらないのがいけないんだよ。恨むんなら自分の怠惰でズボラで不真面目な性格を恨むんだね!」
カルラが吐き捨てるように言うと、ガイウスの腰がヘナヘナと砕けた。
そして力なく地面に両膝を付けると、さらに力なく頭をガックリと垂らした。
「……やばい……いくらなんでも二人がかりはやばすぎるよ……てか俺、死ぬんじゃないだろうか?……いやマジで、俺生きてる自信がなさ過ぎるんだけど……」
「ほう……その様子を見ると、どうやらデルキアもスパルタが教育方針のようだね?ふん、話しが合うじゃないか。どうやらデルキアとは上手くやっていけそうな気がするね」
するとドーブが再びクスリと笑い声を上げた。
「……そうだな。おそらくだが、話しは合うだろうな。性格的に似ているものを感じるのでな」
すると頭をガックリと垂らしていたガイウスが頭をもたげた。
「そんなの最強タッグじゃないかよ~なんてこった……入れ替え戦どころの騒ぎじゃなくなっちゃったじゃないかよ~」
すると再びカルラが鼻を大きく鳴らした。
「ふん!当然だ。ともかく、まずはお前の性根を叩き直すのが先決なんだからね。入れ替え戦なんて悠長に観戦している暇なんてないよ!」
「……ええ~……せっかくの四年ぶりの入れ替え戦なんだから、それが終わってからでいいじゃん……」
「はん!ダメだね。そういう甘々なところも含めて鍛え直さなきゃならないんでね。デルキアたちを復活させ次第、最大級の特訓に入るよ!」
カルラはそう言うと、うなだれるガイウスをサディスティックな微笑みで冷たく見下ろすのであった。




