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第千百七話 イメージ

「……というわけなんだよ」


 ガイウスは、衣服に擦れて痛い身体を引きずってカルラの部屋まで来ると、早速先程のグレンとの話しを打ち明けたのだった。


「……ふむ。アスタロトとオーガ神がな……で、お前はどうしたいと言うんだ?」


「決まってるでしょ?アスタロトに直接聞きに行こうと思ってさ」


 カルラは難しい顔で口を真一文字にひき結んだ。


 ガイウスはそんなカルラをしばらくの間じっと眺めた。


 だが、いつまで経ってもカルラの口が動かないため、我慢しきれなくなって自らが口を開いた。


「そんなに深く考えなくったっていいでしょ?あのエピソードが本当かどうかは本人に聞けば一発で判ることなんだからさ」


「それはそうだろう。だが……」


 カルラはそう言って再び考え込んだ。


「何を思い煩っているのさ?」


 ガイウスがすかさずカルラに問うた。


 するとカルラはようやくそこで重い口を開いたのであった。


「……ガイウス、お前はアスタロトをどう思っている?」


 カルラの意外な質問にガイウスが戸惑った。


「……俺がアスタロトをどう思っているかって?なんでそんなことを聞くのさ?」


「いいから、言ってごらん。お前はアスタロトの人物像をどう捉えているんだ?」


 カルラの重ねた問いに、ガイウスが考え込んだ。


「どうって……友人だよ……結構仲の良いね……」


「なぜ仲良くなった?どういう経緯か憶えているか?」


 するとガイウスがの顔が曇った。


「……いや、その辺のところは憶えていない。俺の記憶のアスタロトは……最初から友人だった」


 するとカルラは目をスーッと細めた。


「……そうか。始まりはともかくとして、お前たちの関係性は判った。では人物像は?お前はアスタロトをどういう風に思っているんだい?」


「どういう風にって……良い奴だと思っているよ。別に悪魔っていっても、皆が皆、極悪人ってわけじゃないんだよ。ただ地獄に住まう者たちを便宜上悪魔っていっているだけだからね。勿論悪い奴もいるよ。でも良い奴だっているんだよ。それは地上と同じさ」


「ああ、それはわたしも知っているよ。だがわたしが聞いているのは、そうした一般論ではない。お前がアスタロトをどう捉えているかだ」


「いや、だから良い奴だと思っているよ。俺にはいつも良くしてくれている。俺の記憶には良いイメージしかないよ」


「ふむ。今お前は、図らずもイメージと言ったな?なぜだ?なぜイメージなんだ?」


 カルラは鋭い視線でガイウスを捉えながら厳しい口調で詰問した。


 ガイウスは、そんなカルラの言葉の真意をくみ取れず、眉根を寄せて困惑するのであった。

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