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第千百二話 寓話集

「で、オーガ神の話しだけど……」


「はい。実は図書館で色々調べていたところ、面白い書物を見つけまして……」


「へえ、面白い書物か……どんなの?」


「はい。ダロス王国に古くから伝わる寓話集なのですが……」


「寓話集……そう言えば確か、オーガ神はダロスの土着の神だったよね?てことは……大いに関係ありそうだね?」


「そうなんです。実際に大いに関係があったのです」


「へえ、断定するんだね?これは期待できそうだ。聞かせてもらおうか」


「はい、それでは……」


 グレンはそこで一旦言葉を区切ると、頭を整理するためか目を瞑った。


 そして軽く一度満足げな笑みを口元に浮かべると、目を見開いて改めて話し始めたのだった。


「その、ダロスにまつわる寓話集なんですが、当然のようにダロス地方の土着の神々が沢山出てきます」


「まあそうだろうね。ダロスの寓話なんだし」


「ええ、ですが肝心のオーガ神が一向に登場しないのですよ」


 するとガイウスが眉根を寄せた。


「……確かオーガ神ってのはダロス土着の神々の主神だったんじゃ?」


「ええ、仰る通りです」


「なのに出て来ない……おかしいね?」


「ええ、そうなんです。他の古文書などにはオーガ神は頻繁に登場します。というかほぼ出ずっぱりです。なのに、何故かその寓話集にはほとんど出て来ないのです」


「ほとんど……ということは一応は出てくるんだ?」


 するとグレンが大きくうなずいた。


「はい。出てきます。一カ所だけ」


「一カ所?それだけしか出て来ないの?」


「はい、そうなんです。わたしも驚きました。実は読んでいる初めは、オーガ神が出て来ないことにまったく気付かなかったんです。ところが途中で何か違和感を感じまして、よくよく考えたらオーガ神が出て来ないことに気付いたのです。ですのでその後はいつになったら出てくるのかと、そればかりを気にしながら読み進めたところ、最後の最後に登場となったのです」


「最後の最後にね。真打ち登場ってところかな?」


「そうですね。ですが真打ちは一人だけではなかったんです」


 グレンはそう言うと、何やら得意げな顔となった。


 ガイウスは予想しなかった話しの展開に、非常に興味をそそられた。


「もう一人……う~ん、俺はダロスの土着の神々には詳しくないからなあ~」


 するとグレンが人差し指をピンと立て、左右にリズミカルに振った。


「いいえ。もう一人の真打ちはダロス土着の神ではありません」


「違うのか。じゃあ誰だ?……う~ん、皆目見当もつかないな……」


 ガイウスは腕組みして考えるも、答えを見出すことは敵わなかったのだった。

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