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第千九十話 透視術

「本物だというからには、古代文字の解読以外の論拠があるということだな?」


 ガイウスは大きくうなずき、答えた。


「ああ、透視しようとしたんだよ」


 するとカルラがスーッと目を細めた。


「……ほう。そんな魔法を使えるようになったのかい?」


「まあね……昔の記憶が大分戻ってきたんだよ。その中に……ね」


「ふむ、そうかい。それ故に伝説の大魔導師かい」


「いやいやいやいや、そういう訳では……もう勘弁してよ……」


 するとカルラがふっと笑った。


「……それで、続きは?」


 ガイウスは居住いを正して改めて説明を再開した。


「ああ、それで覗いて見たんだけど……とんでもなくやばい奴がガード魔法をかけていたんだよ」


「……ほう。やばい奴か……ということは見知っている者というわけだな?」


「……ああ、そういうことになるね……」


 ガイウスはそう言うと、途端に凶悪な面相となった。


 するとカルラがそれを見て、さらに眉間に皺を寄せた。


「……して、それは誰のこと何だい?」


 カルラの問いに、ガイウスが一度歯をギュッと力強く噛みしめてから答えた。


「……ルキフェルさ……」


 するとカルラがまたも驚愕の表情となった。


「……ルキフェルだと?本当か?……」


「ああ、本当だ。間違いないよ」


「ガイウス、お前は先程、棺にガード魔法を掛けた者を見知っていると言ったな?」


「ああ、言ったね」


「尋ねる。しかと答えよ」


 カルラはそこで一旦言葉を切り、大きく息を吐き出してから改めて続けた。


「お前はルキフェルを見知っているというのか?」


 するとガイウスが大きく首を縦に振った。


「ああ、俺はルキフェルを見知っている」


 ガイウスの回答に、さすがのカルラが息を呑んだ。


「……それは前世の記憶の中に……という意味か?」


「そう。遙か以前の記憶に……ね」


「そうか。では同じ天界の神であるイリスの顔も見知っているのか?」


 するとガイウスは、今度は首を大きく横に振った。


「いや、イリスの顔は知らないし、他の神々の顔も知らないよ。知っているのはルキフェルだけさ」


「……そうか、では透視が出来たとしても、それがイリスかどうかは本当のところは判らないということか?」


「そう。本人かどうかは確認のしようがないね。だけど実は、透視は半分成功していてね。ガード魔法によって多少痛い目には会ったけど、おぼろげながら中が見えたんだよ」


「ほう……で、何が見えた?」


「……女さ。間違いなく女が中に横たわっているのが見えた」


 ガイウスはそう言って目をスーッと細めるのであった。

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