第千三十九話 床板
シェスターはうなずき、ガイウスの意見に同意した。
「そうだな。別荘内を探せば、応急的に修繕できそうなものを見つけ出せるだろう。早速探してみよう」
「わかった。じゃあ俺は、もう早速棺を外の庭にでも出しちゃうね?」
「ああ、そうしてくれ。ではな」
シェスターは言うや、皆と顔を見合わせた。
「ということだ。せっかくの別荘だ。壁穴を修繕できそうな板なりなんなりを探すとしよう」
するとエルバが困った顔付きとなった。
「板……そんなのどこにあるのよ?」
するとコメットが相変わらずの優しそうな声でエルバに声をかけた。
「姉様、とりあえず探してみましょう」
するとアジオが混ぜっ返すように冗談めかして言ったのだった。
「まあ最悪床板でも引っ剥がせばいいさ。外に通ずる壁に穴が空いているより大分ましだと思うしね」
するとエルバも納得したような表情となった。
「それもそうね。というかもう面倒だから最初から床板を持っていったらどうかしら?」
するとアジオもはたと顔を上げて言った。
「……確かに言われてみればそうですね。あちらこちら探し回るよりも手っ取り早いですね」
すると今度はシェスターまでもこの考えに同意することとなった。
「そうだな。確かに君らの言う通りだな。では……そうだな、この部屋の床板を外すこととしようか」
シェスターは階段脇の部屋を顎で指し示した。
するとその部屋に最も近かったエルバが、早速ドアノブをガチャリと掴んだ。
「そうしましょ」
エルバは言うやドアノブを回して扉を開けた。
「……あら、随分と豪華な部屋ね……」
エルバの言う通り、部屋の中は大層贅を尽くした仕上がりとなっていた。
するとシェスターが廊下から部屋の中を覗き込んだ。
「ほう……確かにとびきり豪華だな。となればここはフラン元大司教が主に使っていた部屋なのかも知れんな……」
するとエルバが、不機嫌そうに鼻を一つ鳴らした。
「ふん!だったら丁度いいわ。この部屋の床を引っ剥がしてやりましょう」
エルバはそう言うと、大股でズンズンと部屋の中へと入っていった。
そして部屋の中央へと進み出ると、思いっきり足を振り上げてから、勢いよくその足を振り下ろした。
エルバの一撃に激しく大きな音が響くも、床板は随分と頑丈であり、まったくビクともしなかった。
だがその衝撃音を聞くや、シェスターの顔色が変わった。
シェスターはスタスタと素早く移動して部屋の中央へと進み出ると、迷わず床にしゃがみ込み、拳で床板をコツコツと叩き始めたのだった。




