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第千三十五話 メルバの教皇評

「……顔ね……他には?」


「性格……はよく判らないわね。それが判るほど付き合いがあるわけじゃないしね。ただ、ものすごい政略家よ。あの顔で教皇にまで上り詰められたのは、それが原因だとわたしは思ってるの」


「……ずいぶんと顔にこだわるね?」


「当然よ。だって誰だって初対面で嫌悪感を抱くような顔してるんだもの。それなのに今じゃ最高位の教皇よ。よっぽどの策略を駆使して成り上がったのに決まってるわ」


「ふ~ん。じゃあ今度はメルバさんの意見を聞かせてくれる?」


 ガイウスに問われ、メルバが静かに口を開いた。


「わたしは普段ルーボスへ引きこもっているのでね。正直、教皇とは二、三度しか会ったことはない。その少ない経験から言わせてもらえば……エルバとほとんど同感だな」


「へえ~、エルバと意見が一致するなんて珍しいね?」


「そうだな……だがこれに関しては仕方がない。はっきりいってわたしも教皇には嫌悪感が先に立つのでな」


「それは……まさかエルバ同様、顔が悪いと言う理由からじゃないよね?」


 するとメルバが苦笑を漏らした。


「ああ、その辺は多少違うな。だが決していい顔だとは思わないよ」


「なるほどね。まあ何にせよ、あまり褒められた顔じゃないってのは判ったけど、じゃあメルバさんが教皇を嫌う理由は、エルバが言うところの政略家の部分ってことだね?」


 メルバは大きくうなずき、少し顔をしかめながら口を開いた。


「そうだ。彼のやり口というものは……正直わたしは好きになれない。あの徹底的に政敵を追い込んで破滅させるやり方は……正直見ていて気持ちがいいものではないのでな」


「へえ~、そうなんだ~。シェスターさんはどうなの?教皇の人となりについてどれくらい知ってるの?」


 するとシェスターが腕を組み、片目を閉じた険しい表情でもって言った。


「二人とほぼ同じだな。もっともわたしは教皇に会ったことはないので、顔についてはよく判らんが、ただ……」


「ただ……何?」


「ただ、息子だったバルク・ゴルコス将軍とは似ていなかったと聞いている」


「ああ、あのエスタで死んだ……確かガマガエルみたいな奴だったって聞いたことがあるけど?」


 するとエルバが叫ぶように言ったのだった。


「その通りよ!はっきりいってあいつは最悪だったわ。あの馬鹿息子に比べれば教皇の方がだいぶましなくらいにね。とはいっても勿論だけど充分にわたしは教皇が嫌いだけどね!」


 するとまたもメルバがエルバに対して同意を示した。


「これも同感だな。あの男は考えられる限りにおいて、最悪の人間だった。故にあの男に比べれば確かに教皇は、遙かにましだと言えると思うよ」

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