第千二十四話 出方を見る
するとガイウスが忘れていたとばかりに、手を合わせてパンと音を立てた。
「そうだった!確かにそれなら二人の関係性を隠す必要はないよね?どうなの?君たちの言い分を聞かせてよ?」
すると二人が顔を見合わせてうなずいた。
そしてメルバが静かに口を開いたのだった。
「君たちがルーボスへ来る前、アジオから手紙をもらったのだ。二人の関係性を隠そうというな」
「へえ~アジオからの提案だったんだ?」
ガイウスが興味深そうにうなずきながら言った。
するとアジオが仕方なさそな顔をして首肯した。
「まあね。特に深い意味はないんだけどね」
「本当に~?そうは思えないんだけど?」
「本当だよ。相手の出方をうかがうのに都合がいいと思ったから、とりあえず隠しておこうと思っただけだよ」
「……エルバの出方を見るってこと?」
するとアジオが今度は首を横に振った。
「いや、違うよ。シェスターさんのだよ」
すると意外そうな顔をしてシェスターが問うた。
「わたしの?わたしの出方を見るために素性を隠したというのか?」
「ええ、そうですよ。貴方は我々にとって大いなる不確定要素でしたからね。すべてをさらけ出さずに手玉をとっておこうと思ったのです」
「ふむ、そうか。ならばそれはいいだろう。だが君たちが素性を隠していたのは今に始まったことではない。ルーボスへ向かう時どころかその遥か前の六年前、アジオ、君がエルバ嬢の前に現れた時からのはずだ。何故その際、君は素性を隠したのかね?」
するとアジオが軽く肩をいからせ、両手を広げるポーズをした。
「先程の答えと一緒ですよ。その時はエルバの出方をうかがおうと思ったのです。彼女は少しエキセントリックな所があると聞いていたのでね。メルバ兄と会った時とは異なり、一旦懐に飛び込んで様子見をしようと思ったのです」
「ふむ……ではうまいことエルバ嬢に雇われることとなり、とりあえず様子を見てタイミングを見計らって素性を明かそうとしたと?」
「その通りです。ところがそうこうするうちにエルバの命でコメット付きとなることが決まったため、その件はひとまず置いておき、コメットの元へ赴いたところ、すぐにエスタ戦役に巻き込まれてしまったというわけです」
「ふむ……なるほどな。一応辻褄は合うようだな?」
シェスターの鋭い視線を受け、アジオが慌てて両手を顔の前で忙しく振った。
「いやいや、疑い深いですよシェスターさん。僕はこの件では嘘はまったく言ってませんのでね。本当ですよ」
「そうか……では君の言ったことが真実だとして、今後、君はどうしたいと思うのかね?」




