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第千二十一話 アジオとメルバ

 だが二人は顔を強張らせるばかりで、一向に口を開こうとはしなかった。


「ねえ、どうするの?やるの?やらないの?どっち?」


 ガイウスがアジオたちに向かってさらにゆっくりと近づきながら言った。


 だがアジオたちは顔をさらに強張らせるばかりであったため、ガイウスはため息混じりに肩をすぼめつつ、さらに二人に向かって静かに距離を縮めていった。


 アジオは眉根を寄せ、頬を引きつらせながら横目でメルバを見た。


 するとメルバも、普段の落ち着いた様子は影を潜め、額に大粒の脂汗をにじませていたのであった。


「俺はどっちでもいいよ?最近、魔法でバトルこともなかったから久々にやってもいいし、このまま大人しく従ってもらってもどっちでも……どうやらその様子だとやりあう気はないみたいだね?」


 ガイウスがアジオたちの目の前、ほんの一M程のところまで近づいて言った。


 すると、ようやくアジオがその重い口を開いたのだった。


「……わかったよ。降参するよ。とてもじゃないけど敵いっこないからね……大人しく君に従うことにするよ……」


 するとガイウスが、にこりと笑みを浮かべた。


「そう。それは良かった。でもお隣さんはどうなのかな?なんか不満げな様子に見えるんだけど?」


 ガイウスはそう言ってメルバの顔を小首を傾げながら覗き込むようにして見た。


 するとメルバは大きく唾を飲み込み、深いため息を吐き出しながら仕方なさそうにうなずいたのだった。


「……わかった。わたしも君に従おう。勝ち目のない戦いはしない主義なものでね……」


 メルバの回答を聞き、ガイウスはようやく満面に笑みを浮かべた。


「そう。それじゃあ大人しく白状してもらおうかな?」


 ガイウスは軽めな言い方で問うた。


 するとアジオが不承不承といった感じでゆっくりと口を開いたのだった。


「……先程シェスターさんが仰った通りですよ。僕はもう大分前からメルバ兄とは面識がありました……」


 するとそれまで一応大人しく推移を見守っていたエルバが、突如大声を出して厭味ったらしく言った。


「メルバ兄ですって!何よそれ!やっぱりあんた達組んでいたのね?それで、わたしたちをどうするつもりだったのよ?言ってみなさいよ!?」


 するとガイウスが軽く頬をヒクつかせながら振り向いた。


「エ~ル~バ~ちゃ~ん……黙っててって言ったよね~?もう忘れちゃったの~?」


 ガイウスは少々切れ気味な様子でエルバに対して言った。


 すると今度はエルバが頬を軽くヒクつかせた。


「……あ、そうだったわね。ついうっかりよ……ついうっかり言っちゃっただけじゃない。だからもう大丈夫よ。もう声出さないから。さ、続けて、どうぞ~……」

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