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カレーライス

美奈子はカレーを作るのが上手だ。


でも今僕たちは離れ離れだ。

美奈子は今北海道にいる。


だから僕はカレーの匂いのするポストへ

行って美奈子に手紙を出す。

僕にとって少し小さな座椅子に座りながら、

僕は部屋でいつも手紙を書いている。


カレーの匂いのするポストを二人のおばさんが通り過ぎる。

「いつもおいしそうな匂いがするわねえ」

僕はおばさん達の後姿に向かって、うんうんと笑顔でうなづく。


僕は手紙を出し続けた。

カレーの匂いのするポストのところに行くのが楽しみになっていった。


ところがある日ひげがとびっきりに濃くて、目がカエルみたいに大きなインド人がポストを持ってどこかへ行こうとしていた


「すいません。何をしてるんですか?」

「寒くなってきたノデ、中に入れるんデス」

「でも、それが無いとみんな困ると思うんですが」

「そう言ってもらえるとありがたいんデスが」

インド人の男は少し迷惑そうな顔をして、喉のあたりを震わした。

「では、一緒に中へドウゾ」

僕はインド人と一緒にカレーの匂いのする建物の中へと入っていった。


「美奈子さん、最近ワタシそういえば見てません」


僕はビニール袋にカレーのお弁当を持って部屋に戻ってきた。カレーを食べると、美奈子が作ってくれていたカレーと同じ味がした。


僕は美奈子のことを考えながらカレーを食べきった。

僕にとって少し小さな座椅子に座りながら。


前に美奈子と僕の共通の知人である田中さんに「美奈子の料理はおいしい」と自慢した時、田中さんがクスっと笑っていたのを思い出した。

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― 新着の感想 ―
[一言] インド人のプロの方に教えてもらったのでしょうか。それともプロのカレーをそのまま渡していたとか。
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