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【書籍化】意味が分かると怖い話 解説付き  作者: 鍵谷端哉


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丑の刻参り

「近所の神社で丑の刻参りをやってる奴がいるんだってよ」

 

突然、祐介くんがそう言い出した。

 

そういえば、お母さんも夜に変な音を聞いたという噂があったと話していた。

そっか。変な音って言うのは、丑の刻参りやってた音だったんだ。

 

「なあ、今日の夜、そいつを見に行かね?」

 

祐介くんがとんでもないことを言い出す。

 

「いや、ダメだよ。丑の刻参りは他人に見られたら呪いは自分に返るって話だよ」

「だからだよ。誰かが呪われてるのを黙って見過ごす気か? それに呪いをやってる奴を退治しないと!」

 

祐介くんはその人が心配みたいなことを言っているが、単に面白半分でみたいだけなんだろう。

 

「丑の刻って確か、深夜の1時から3時までだよね? そんな時間に家、出れないよ」

「いやいや。親だって寝てる時間なんだから、出られるだろ」

「……」

「お前、ホント、怖がりだな」

「違うよ! 行くよ!」

 

怖がりと言われるのが悔しくて、つい、勢いで行くと言ってしまった。

 

そして、その日の夜。

すごく怖かったが、祐介くんにバカにされるのが嫌で、僕は集合場所に行った。

すると、すでに祐介くんがいて、妙にニコニコしていた。

 

「おい、こっちこっち! 音してる!」

 

祐介くんの言った通り、かすかに釘を打つ音が聞こえてくる。

 

「やってるやってる。行こうぜ。どんな奴がやってるのかなぁ?」

 

ニコニコしながら祐介くんは神社の中に入っていく。

僕も仕方なく、祐介くんの後をついていくと、音が段々と大きくなる。

 

「いたっ!」

 

祐介くんが指差す方向には、白い着物を着て、頭にろうそくをつけた人が、すごい勢いで藁人形に釘を打ち付けていた。

 

あまりの異様な光景に、さすがの祐介くんも顔を青ざめて震え始めた。

 

「帰るぞ」

「うん」

 

祐介くんの言葉に、僕は頷くしかなかった。

そして、その場から逃げようとしたとき、枯れ木を踏んでしまい、パキッと音が響いた。

すると、釘を打つ音がピタリと止んだ。

 

「見いいいぃいいたああなああああああああああ!」

 

丑の刻参りをしていた人が振り返り、物凄い勢いでこっちに走ってきた。

僕たちは悲鳴を上げながら全力で逃げた。

 

追ってきた人は途中で転んだみたいで、僕たちは逃げ切ることに成功した。

だけど……。

 

「あっ!」

 

僕はあることに気が付いた。

一気に顔から血の気が引くのが自分でもわかった。

 

「どうした?」

「名札、落とした」

「お前、なんで名札なんか持ってきたんだよ」

「違うよ。忘れないようにいつもポケットに入れてたんだよ」

 

このままじゃあの人に、僕のことがバレてしまう。

 

「ぼ、僕、戻って名札探してくる」

「バカ! 逆に見つかって捕まったらどうするんだよ!」

「でも……」

「大丈夫だって。名札見られたくらいで、どこの誰かなんて絶対にわからないって」

「そうかな?」

 

少し不安だったけど、確かに戻る方が怖かった。

その日は家に帰って布団に入った。

全然眠れなくて、すぐに朝になった。

 

学校に行くと祐介くんも眠れなかったみたいで、目の下にクマができている。

僕は名札のことが気になったけど、あえて考えないようにした。

ひたすら、僕だってバレませんようにと祈ることしかできない。

 

そして、その日。

珍しく担任の先生が学校を休んだ。

元気だけが取り柄の先生だったのに。

 

終わり。















■解説

丑の刻参りをしていたのは、担任の先生。

丑の刻参りを他人に見られたので、呪いが自分に返ってしまった。

また、担任の先生がこの後、無事だった場合、名札で語り部のことがバレてしまう。

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