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【書籍化】意味が分かると怖い話 解説付き  作者: 鍵谷端哉


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31/66

忘れられた監獄

そこはとても小さな監獄だった。

辺鄙な場所にあり、環境は最悪で、夏は異常に暑く、冬は凍死者が出そうなほど寒い。

ここに入れられるだけで、十分罰になるのでは、と思うほどに劣悪だった。

 

現在、その監獄には32人の囚人が収監されている。

それは20年以上、変わっていない。

入って来る者もいなければ、出る者もいない。

この監獄は、忘れられた監獄と呼ばれることもあるほどだ。

 

もちろん、看守も代わることもなかった。

この監獄には看守が5人いるのだが、数十年ずっと同じメンバーだ。

そうなると、次第に看守達の規律も乱れてくる。

 

囚人への暴行やイジメは日常茶飯事。

中には危うく命を落としそうになった囚人さえも出てくる始末だ。

 

そんな中、4人の囚人がこの状況に耐えきれなくなり、脱獄の計画を練り始めた。

長い年月をかけて、入念に計画を立てていく。

 

そして、ついにその計画は実行に移される。

 

しかし、誰一人、逃亡に成功する者はいなかった。

 

そのことはすぐに国に報告された。

報告の内容はこうだ。

 

昨日の未明、脱獄を図ろうとした囚人が出た為、5人全員撃ち殺しました。

 

国は脱獄犯が出なかったことに安堵し、引き続き、気を引き締めて囚人を監視するようにと御達しを出した。

 

そして、その事件以降、この忘れられた監獄は楽園と呼ばれるようになった。

 

終わり。

 














■解説

脱獄を計画していたのは4人のはずなのに、撃ち殺されたのは5人となっている。

また、この事件以降に、この監獄が「楽園」と呼ばれるようになった。

ここから、実際に撃ち殺されたのは「5人の看守」であり、囚人が監獄を乗っ取ったことがわかる。

また、「逃亡に成功する者はいなかった」という点は、逃亡ではなく看守を襲って乗っ取ったので、逃亡する必要がなかったというわけである。

国からも忘れられるような監獄の為、この先も、この事件のことがバレる可能性は低い。

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