24. 貢献度について考える〜人々に安眠を届けるには
「おはようございます。本日の朝食はこちらです」
ひんやりとした空気が気持ち良い時間帯。
今朝のメニューは垂考案の、「朝活メニュー」だ。
〜本日のお品書き〜
卵と青菜の巣ごもり風
雑穀粥
はちみつヨーグルト
「おおっ。 今朝はいつもと違うんだね」
フクロウ亭のいつものパンとお茶だけの朝食に飽きていた客は嬉しそうだ。
ちなみに、パンはパンで良さがあるけどね。
女将の手作りパンは色んな具材が入っていて面白い。
「このメニューは、1日元気に過ごして夜ばっちり寝れるように、栄養を考えたんですよ」
垂はにこやかに説明した。
良質な睡眠をとるには、睡眠をつかさどるホルモンである「メラトニン」をしっかりと分泌させることが必要だ。
そのメラトニンの生成に重要なのが、トリプトファンとビタミンB6。
トリプトファンは味噌などの大豆製品に、ビタミンB6は魚に多く含まれる。
すなわち、味噌汁や焼き魚からなる日本の伝統的和食は凄いのだ。
「快眠のためには夜の食事が大事では?」と思う人も多いだろう。
しかし、朝食こそ睡眠に大きな影響があるのだ。
朝食という形で朝のうちにメラトニンの原料を取り入れれば、夜にはちょうどメラトニンが生成されていることになり、入眠しやすくなるうえ、眠りの質の向上も期待できる。
朝はあんまり食べれない、なんて人にはバナナとケールのスムージーなんかもお勧めだ。
最近は女将と一緒に色んなレシピを考案中である。
◇◇◇
朝食を終えた垂は、部屋でゴロゴロしていた。
休日の今日は、ゆっくり過ごす予定だ。
色々悩む。
先日、「ねむりの神様」と話をした。
夢だと思っていたのだが。
『138』
意識すると視界に現れる黄色い数字。
「貢献度かぁ……」
何やら人々の安眠に協力することで上がるらしいこの数字。
日本に帰るためには千か万か、とにかくこの数字を増やさなければ。
前述の朝ごはんをはじめ、各部屋のベッドに工夫をこらしてみた。
希望者には洗濯、足湯サービス、快眠ドリンクバーの設置も続けている。
「1カ月がんばって100ちょっと。先が遠いよ……」
もっと効率良く稼げないだろうか。
ふくろう亭の宿泊客だけでは駄目だ。
もっと多くの人にサービスを……個人レベルでは金も権力もないし出来ることは限られる。
身近なところで改善できそうなのは、工場の皆かなあ。
イルーシャに女子寮のぞかせてもらったが、まさかの雑魚寝だよ。
ゴザみたいなのを固い床に敷いただけ。
ただでさえ16時間労働で睡眠時間短いのに。
全員に個室を作ってあげられるわけないし。
皆の分のベッドは? 無理無理。
だから金も権力もないんだって……。
お手軽に、大勢の人が一気に良く眠れる方法はないだろうか。
沢山の人が眠くなるところ……。
ある光景が脳裏に浮かんだ。
――畳、同じ浴衣を着てくつろぐ人々、ビン牛乳……湯上がりどころだ。
「風呂……」
そういえば工場の皆、近くの水路で毎晩沐浴するらしい。
水路に衝立があるだけの、屋外の水浴び場だ。
幸い垂は、宿でお湯を使わせてもらってる。
風呂とまではいかないが、個室でタライに湯を張って体をぬぐうのだ。
(久しぶりに温泉入りたいなぁ……)
風呂こそ金がかかるだろう……許可なども必要かもしれない。
考えがまとまらない垂は、とりあえず昼寝をすることにした。
◇◇◇
垂はフミンの家に遊びに向かった。
自身の昼寝布団で休みたいと思ったのだ。
このところ毎日工場勤めでへとへとだ。
仕事中に何度赤いカウントダウンが出てきたことか。
カウント『0』で気絶後、起きた時はいつも体が重くて辛い。そしてマイナスの青数字が表示されるのだ。
(そういえば、ねむねむ様に青数字のことも聞きたいなあ)
寝起きのマイナス数字はなんだか良くない。
工場の照明が消えたり機械が止まったり、色々怪奇現象が起こるのだ。
なにはともあれ、睡眠だ。
眠りの質が良ければ赤のカウントダウンも青のマイナス数字も避けられるようだし。
垂はワクワクしながら愛用布団の元へ走っていったのだが……。
「フミンさんっ!?」
家の中で倒れているフミンを発見する。




