第11章:入学
・・・1989年4月上旬。
桜ふぶき舞う、うららかであたたかい春の日だった。
ひとりの体格のいい、でっぷりと太った男子学生が、
やや緊張した面持ちで、県立の専門学校の門の前に立つ。
校門で、父に記念撮影してもらい・・・
ともに、入学式の会場へ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
・・・その日は、とりあえず、式のあと、
全員が自宅へと帰るのだが、
事前説明でもあったように、この農業の専門学校は、
最初の1年間は、自宅がどんなに学校から近いとしても、問答無用で、
全員が、「寮生」となり、仲良く共同生活を営むこととなる。
・・・もう、いやもおうもなし。
この条件が飲めない学生は・・・
その時点で、めでたく「即刻・自主退学」となってしまう。
受験案内や入学案内のパンフレットは、
手元には残っていないが・・・
おそらくは、規律ある共同生活を1年間、学生側に課すことで、「連帯感」なり、「仲間意識」を高め・・・
一生涯にわたって付き合ってゆける、
「心の友」を作り、友情をはぐくむことで、
地域社会や農業の分野で活躍し、ひいては、このニッポン国を支えてゆけるだけの、
活力と若さあふれる、頼もしい人材を育てる・・・
このようなコンセプトや目的が、県や国側にあったのではないか、と思われる。
それは、
のちにぼくらが体験することになる、この学校の数々の行事なり、授業・講義内容を見てもわかる。
どうしても、「仲間」の手助けなしには達成や実行が不可能な要素が満載であったからだ。
・・・実に無味乾燥で、
堅苦しい説明の章が続いてしまったが、
次章からは、
皆様が楽しく読んでいただけるような内容を、ゆっくり提示していきたいと思う。
やはり、最初は、
こうした「解説」が必要でありますからね♪
m(_ _)




