第10章:入試(= 面接試験の巻)
・・・筆記試験が終わると、
その足で、会場を変えて、
教務室・・・つまり、高校などの「職員室」がある棟に、全員が移動する。
そこで、
農業科なら農業科、園芸科なら園芸科・・・といった感じで、
受験するカテゴリーのちがいによって、試験官も変わる。
・・・面接官は、3人。
前章で紹介した、のちの農業科の担任・・・野沢先生。
そして、校長の菊池先生と、副校長の塩野谷先生の3名だ。
「えー、まずは、あなたのお名前からどうぞ。」
「それで、この学校を受験された志望動機は・・・?」
淡々と、ありきたりの質問が続く中、
こんな質問が飛んできた。
「・・・では、栗原さんに伺います。受験校を併願されている、と聞きましたが・・・もし、あなたが他の4年制の国立大学のほうで合格されましたら・・・もちろん、ソッチのほうに行きたいよね?」
ニヤリとした表情でたずねる、菊池校長。
最後のくだりは・・・なぜか、「タメぐち」。
「どうせ、すべりどめで、ここを受けたんだろ、キミは?」とでも言いたげな顔だ。
・・・さぁ、ここでぼくの切り札登場だ。
父と、何度も「面接シミュレーション」を重ねてきた、その成果をためすときがきたようだな。
「・・・いえ。たとえ、国立大学が受かっても、ぼくは絶対、ここへ来ます。この大学校で勉強したいんですッ!」
ぼくの意外な答えに、
ちょっと、とまどったような印象の試験官のおさんかた。
しばらく、お互いの試験官どうしの顔と、
両こぶしを固く握って膝の上に置き、まじめに鎮座し、まっすぐ見つめる、ぼくの顔とを見比べている。
「・・・わかりました。これで、この面接試験は終了です。結果は、のちほど郵送でもお伝えしますので・・・。お疲れ様でした。」
・・・さぁ、果たして、結果はいかに??




