第9章:入試(= 筆記試験の巻):その2
この日の試験教室は、
のちに、ぼくたちが使用することになる、
「農業科の教室」であった。
試験官は・・・
これまた、のちに農業科の担任となる、
「野沢先生」。
ごま塩頭の、浅黒く日に焼けた短髪オヤジで、
どこからどう見ても・・・失礼ながら、「知的要素」「知性」は感じない。
声質も、失礼ではあるが、魅力的な要素はなかった。
あまり長時間、聴いていたくはない、かなりハスキーな「しわがれ声」。
・・・年齢は、50代後半といったところか。
そのうちに、問題用紙が配られはじめたのだが・・・
理科の分野では、
聞いたこともない科目名を、野沢先生がのたまわったのだった。
「・・・この問題は、選択となります。あなたがたの出身校が、普通高校か農業高校かで、また選択科目も変わってきます。はい、『化学』で受ける人は・・・? じゃ、次。『作物』。」
(んんっ? なんだ、『作物』って??)
(そんな学科、この世にあったんかい・・・。あ、そうか! ソレって、農業高校でのカリキュラムだったんだよ、きっと。)
(ぼくは、もちろん、そんなおかしな、聞いたこともねぇ科目で受けないもんねー♪ 化学・・・コレすなわち、「ばけがく」なぁり❤️)
・・・数学も化学も、
こういってはナンだが、
偏差値の低い学校のワリには、
けっこう難しい問題だった。
(・・・やっべ! ナメてかかると、マジで、この学校も不合格になっちまうぞ・・・。)




