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38話

 放課後、ナックでポテトをつまみながら、俺と啓介はまったり話していた。


「それにしても、本当におひいさまと付き合うことになるとはなぁ」

「正直、俺もこうなるは思わなかったよ」


 啓介が驚きを隠さない声で言いながら、ポテトを口に放り込む。俺はそれを横目に苦笑しつつコーラを一口飲んだ。


 でも本当に信じられないな。


 美咲に振られて、更に橘に寝取られるという最悪な経験をしたのに、学校のおひいさまである凛華とオンラインゲームで出会って、リアルでも付き合う事になるとは……。


「だろ?やっぱり俺は見る目があるんだよ。おひいさまが和也に目をかけるって、何かの運命だって!」

「そんな大袈裟な……」


 呆れた表情で、ポテトを掴んでいると、啓介は真面目な表情でこちらを見つめてきた。


「本当に腐らず努力して良かっただろ?期末テストが終わってから周りからの声も変わったしな」


 あの結果を出した後、俺と凛華の関係を悪く言う生徒はめっきり減った。


 逆にお似合いだなんて言う言葉が聞こえてくるようになったくらいだ。


「あぁ……本当に良かったよ。ありがとう啓介……」

「おう!次は俺の彼女探しの手伝いをしてくれよな」

「マジかよ……無理だって」


 そんなたわいもない会話をしていると、スマホが震えた。画面を見ると、凛華からのメッセージが届いていた。


『いつ帰ってくるの?』


 その短い文に、俺の心臓が少しだけ跳ねた。


 啓介が俺の手元を覗き込んで、ニヤリと笑う。

 

「おいおい、彼女が家で待ってるんだろ?こんなとこでダラダラしてないで、早く帰ってやれよ。」

「そうだな……。じゃあ、また明日な!」


 急いでナックを後にして、凛華の待つマンションへ走るのだった。










 マンションに到着し、部屋に入ると、すぐにいい匂いが漂ってくる。


「おかえりなさい!」


 キッチンから凛華がエプロン姿で顔を出した。その笑顔があまりにも自然で、胸の奥がじんわりと温かくなる。


「ただいま」


 お互い気持ちを伝えあった後、凛華はこうして頻繁に家へ晩御飯を作りに来てくれていた。


 もうほとんど、一緒に住んでいるぐらい一緒にいる気がするのは気のせいだろうか?


「今ままで何してたの?」

「ごめん、啓介とポテト食べてた……」

 

 そう答えると、凛華は頬を膨らませた。


「ちゃんと私のご飯食べられる?」

「大丈夫、凛華のご飯は別腹だから」

「もう……。残したら許さないからね?」


 テーブルには、美味しそうな晩御飯が並んでいる。二人で座って食事を始めると、俺はなんとなく胸の中にある気持ちを伝えずにはいられなくなっていた。


「……なあ、凛華。」

「ん?」

「改めて言いたいんだ。俺を救ってくれて、本当にありがとう。もし、あのとき凛華がいなかったら、俺……今どうなってたかわからない。」


 素直に伝えた言葉に、凛華は少し驚いたようだったけど、すぐに笑顔を浮かべて答えた。


「どういたしまして、私も和也君を救って本当に良かったって心から思ってる」

「凛華……」


 その後、ふっといたずらっぽい表情になりながらこう付け加える。


「でもね、私を和也君なしで生きていけなくした罪、一生背負ってもらうからね。」


 そう言いながら見せたとびっきりの笑顔に、俺はつい見とれてしまった。


「……それくらい、全然大丈夫だよ。」


 自然と出たその言葉に、凛華が満足そうに微笑む。二人の間に流れる空気が、どこか特別なものに感じられた。


 俺の人生の中で、彼女がこんなに大切な存在になるなんて思いもしなかったけど、今ならはっきりわかる。凛華は俺にとって、もう手放せない存在だ。

ここまで読んでいただきありがとうございました。次回作も現在執筆中なので、近いうちに出せると思います。応援コメントや☆評価とても励みになりました。本当にありがとうございました。

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