育んできたものへ
久しぶりにぐっすりと眠っていた後の空気を
吸えたような気がした
ずっと溜まっていた気持ちを言葉にした後
きっといろんなさよならを意識しながら
けれど言葉に出来てよかった自分の為に
勝手に作られてゆくイメージのヴェールを外して、自意識の殻を破っていくように
わたしはこんなものさと
わらってしまえるくらいに
さよならを覚悟していたわたし
でもきっとわかってくれると希を持っていたわたし
どちらが本当のわたしだろうね
どちらでもいいじゃないかと
わらって包んでくれたのは
ぐっすりと眠れた後の空気のような軽やかな
空気だった
不思議で、あたたかで
少し肌寒いくらいの風の中で
秋の虫の鳴き声を聞きながら
ホットココアを飲めた様な気持ち
まだまだ、暑いけどね
そうだね、もう、どちらでもいいじゃないか
少しずつ、少しずつ軽くなって
秋には
ゆっくりと耳を澄ましたい音色
秋には
ゆっくりと受けとめたい言の葉
秋には
ゆっくりと味わいたい育んできた実り