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第08話 号泣する園長先生

 小テストに合格した園児がちらほら増えてきたな。谷沢先生も俺だけには構っていられず転んで泣いている園児の所へ行ってしまった⋯⋯⋯マイエンジェルが。


 他の園児は俺と一緒に遊びたいのかチラチラ見てくる。今リフティングの練習してるんだから邪魔するなよ。


 園内では集団行動とか、勉強等で忙しく練習時間は貴重なんだ。


 さてリフティングの話に戻るが、リフティングとはボールを操る能力の基本であり、初めに行う練習だが基礎であると同時にとても奥が深いのだ。


 またサッカー未経験の多くはリフティングは足でするものだと思っている。だが実は4つの種類に分けられるのだ。


 皆様お馴染みの足で行うリフティング、その他には頭、胸、肩と分類できる。


 今行っているインステップリフティングは足を使ったものだ。足の甲を使いボールを跳ね返す。甲の真ん中に当てるように、またボールの中心にミートするように行う。


 この何気ない練習でしっかりとミートする感覚、ボールが膝を通過する時に膝下を振り出すタイミングを覚える事ができるのだ。


 それを両足で行い、限りなく両足の精度を高めていく。俺の利き足は元々右だったが、左足は今では利き足と殆ど遜色ない感覚と精度を持っている。


 俺がここまで精度をあげられたのは赤ん坊の時に行っていた訓練が功を奏した。流石にたった1年ちょいの練習じゃ両利きにはなれない。


 俺がまだしょんべんまき散らし赤ちゃんの時は、右利きだった。それを【最先端サッカー学】の中で気になるチャプターを選び、そこに書かれている何万という字を一つ一つ左手でなぞっていったんだ。


 結果手が両利きベイビーの誕生さ。その手の感覚を足にも活かし、なんとか両足とも同じ精度まで高めることができた。



【器用】のスキルもだいぶ貢献していると思う。なぜなら折り紙の時間俺だけひとりで無双しているからだ。


 この前俺の憧れであるリオネル・メッシ様を折り紙で作ってクラス中から拍手されたよ。流石にその時は自分でも驚いた。補正倍率って少しでもだいぶ変わるんだなと。



 まあ【スキル】の貢献もありなかなかリフティングも仕上がってきた。毎日コツコツ練習してきたからな。


 さてそろそろ身体が温まってきたから今度は全身を使って行うか。始めは右インステップとこなし、左インサイド、右アウトサイド、左もも、頭、胸という順番でやる。


 その後はすべてのプロセスを逆にして行う。これがなかなか疲れる。かなり集中力も使うし、ミスしたらやり直し。両方のパターンでやって1回、それを10回4セットだ。


 最近は背中にボールを着地させられないか、試している。これがなかなか難しい。背中トラップとか将来してみたいな。あがったクロスを背中でトラップしてそのままダイレクトでゴールする。


 くうううううぅぅ! 格好いいな。


 あっまた落としてしまった。衝撃をクッションみたいに吸収できないな。


 元イタリア代表ミルコ • バァルディ選手は卵でリフティングとかするからな。流石にあれは頭がおかしいレベルだ。


 俺もそのうちできないかな〜【スキル】構成的にできると思うんだがな。


 まぁ、こればかりは近道はないから毎日コツコツ、地味な練習を積み上げるしかない。


 ん?さっきからやたらと視線を感じるな。


 最近では視線さえ【気配察知】で分かるようになってきた。だいぶ上手く使えてる証拠かな?


「やあ、久しぶりだねケイ君!」


 心奪われたようなうっとりした表情で園長先生が話しかけてきた。いつものやつれた顔じゃないな。どうしたんだろうか?


「お久しぶりです、古川園長先生」


 リフティングしながら挨拶に応えると、更に熱の籠もった視線を向けてきた


「やはり田上君が言っていた通り、て、天才だ! やっと見つけたぞ俺がやりたい事!ケイ君!俺と一緒にサッカーしないか? クラブチームを一緒に作ろう!」


「ーーー結構です。」


「へっ、いや元プロサッカー選手と一緒にサッカーだよ?普通もっとよ、よろこばない? す、少しだけでもいいからなっ?コツとか教えてあげれるよ」


「あっ、結構です」


「B級ライセンスもあるんだ、場所もちゃんと用意する。い、一緒にやろう!」


「はい、結構です」


 orzと跪き頭を垂れる古川園長先生を横目にどんどんキレとスピードがましていく。

 ヒールリフティングも加えて変幻自在な動きを見せる。


 そして最終的には壁打ちも加えてまるで聞いているこっちが心地よくなるミート音。


 目を奪われると言うのはこのことか。


 行方不明になっていた田上先生はドヤ顔で、古川先生、僕の言ったとおりじゃないですかとか、五月蝿い俺のプライドはボロボロだよとか言ってるし、


 俺を使って盛り上がるなよまたっく。


 正直少し魅力を感じたが、何だか暑苦しいし、ああいうタイプに限って俺が言う事聞かないと癇癪起こすんだよ。


 自分で組んだメニューにも文句言ってきそうだし。せっかくのアドバンテージである【最先端サッカー学】が活かせない。


 小4までは自分で練習して基礎的な技術力を上げる事に集中してんだ。土台が仕上がってない身体で試合中に怪我したらどうするんだ。


 子供の頃に負った怪我が大人になって再発、それで再起不能になんてなりたくない。


 プロの中にはその傷が致命傷となり選手生命を絶たれたりする人もいるんだ。だからあまり無茶ぶりはよくない。


 俺の訓練時間は長いが、少しずつ負荷を掛ける訓練法のプログレスオーバロードを用いることによって全く異なる結果を残す。


 この訓練方法は自分の体の成長に合わせて少しずつ負荷をかけるものだ。もちろん、この歳ではフィジカルの優先順位は圧倒的に下だ。技術習得を第一としてメニューを組んで負荷をかける。


 しかし、子供に無理をさせてはいけないことを理解できていない指導者が日本にはかなり多い。


 特に高校サッカーがその最たる例だ。とりあえずランニング、とりあえずフィジカルに力を入れる。その無理ある指導方法で才ある者が選手生命を絶たれるなんてあってはいけない事なのだ。


 改めて無理はしないと自分の中で取り決めしようと色々考えていると、


 園長先生が近付いてくる⋯⋯⋯下向きながらぷるぷるしてる、


 やべ、もしかしておこなの?ブチ切れてる?



「た、頼む!一生のお願いだ!」


 うっそーん、この人園児にな、泣きながら頼んでるよ⋯⋯しかも抱きついてきてるし。


 うわ、タバコ&酒くさいなこの人⋯⋯うぇっとか言ってるし、


 よし徹底的に関わらない方向で行こう。この人は危ない人だ。


 人事部しっかり仕事してくれ頼むから。


ど、ど、どうかポイントを、、、(土下座)


ヒロインのキャラ作りが難航しています。おたすけえええ

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