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Magic of OZ~天性持ちの転生者~  作者: 赤間 そあ
~第二章 王国崩壊編~
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~最終戦前~

ジル=ヴァンクリフとザザン=ダンの闘いが終わり、最終戦の準備が行われようとしていた。勝敗は二勝一敗一分。オズワルド王国の勝ちが先行している状況だ。さすがにジルの闘いを見てケチをつける者などいなかった。バルバロッサ=ワインズマンも憤慨しているかと思いきや、そんなことは無く、共に闘った仲間がすべて息耐えたにも関わらずいたって冷静だった。

四回戦での闘いの片付けと最終戦の準備が終わろうとする頃、管楽器の音が場内に鳴り響き、進行役の女史が声を上げた。


「皆様、お待たせしました。本日の最終戦でございます。西側よりロッサ王国バルバロッサ=ワインズマン国王、入場です。」


重厚で金色の輝きを放つ全身鎧(フルプレートメイル)を身に着けたバルバロッサは観客や来賓に向かって手を降り、ゆっくり歩きながら闘技場中央に現れた。


「なんだ、ありぁ。」


「新調したみたいですね。」


「嘘だろ。野郎は、なに考えてんだ。」


グレイとラゴールは呆気にとられていた。その様子を見たルゥは何故、二人が不思議そうにしているのか理解出来なかった。


「お二人さん、なんで驚いてんのー?」


「なんでって。見りゃ分かるだろ。」


「どういう事ー??」


「金で出来た鎧だぞ?」


「それはわかるー。高値がつきそうだもんねー。」


「そういう事ではありませんよルゥ。」


「じゃあ、なにー?」


グレイが、分かっていないルゥの為に噛み砕いた説明した。


「バルバロッサは海の上なら無敗の強者でしょう。海上での戦闘において海に落ちても助かるように軽量装備しかつけないのが常識です。元々身軽な海の戦士が重い鎧など、身のこなしが軽減するから避ける傾向が強い。それなのにバルバロッサは金属の中で最も重い金製の全身鎧(フルプレートメイル)を装備して出てきたって事ですよ。」


「そういうこった。そりゃ驚くだろ。というかアホだな。」


ルゥにはまだ分からない様子だった。


「じゃあさじゃあさ、なんでバルバロッサはわざわざ、金の全身鎧を着けたのー?重くて動きが悪くなる事くらい着ければわかるでしょー?」


「それは、多分ですが各国の代表者に向けて『王は私だ』と言わんばかりのパフォーマンスでしょうね。」


「ふぅーん。上に立つ人も大変なんだねー。アルディ様は勝てるのー?」


「心配しなくても大丈夫ですよルゥ。アルディ様は武器での攻撃ならば、ジル様を凌いでいらっしゃいますからね。」


「そっか。なら安心だー。」


ジルはアルディの元で闘いの準備を手伝っていた。アルディは、訓練など転生してからも毎日続けていたのだが実践は初めてに等しい。そんなアルディをシリウスは心配したが、当の本人とジルだけは違った。二人は誰よりも冷静に、普段通り振る舞っていた。


「見てみろジル。バルバロッサの奴、自慢げにこっち見てるぞ。」


「うわっ。本当だ。何がしたいんだあいつ?」


「さぁ。余程、勝つ自信があるんだろうな。」


「かもな。さぁて、準備も終わったし軽く勝ってこい。」


「あぁ。さっさと終わらせて宴だな。」


「いいねぇー。バルバロッサが隠してそうな酒を盗んで一緒に飲むか?」


「あはは。そりぁいい。じゃあ早く終わらせるよ。」


「頼んだぞアル。」


バルバロッサの登場のセレモニーが終わる頃、進行役の女史はアルディの名を呼びだした。


「東側からは、シガー王国前国王アルディ=オズワルドの登場です。」


呼ばれたアルディは、観客達には目もくれず、さっさと闘技場中央に歩いていった。


「この最終戦で決着とさせていただく為、勝者には二勝とさせていただきます。すなわち、この闘いの結果で勝者が決定いたします。」


バルバロッサが憤慨しなかった理由はまさしくこの方法があったからだった。これに、いち早く反応したのはまたもやラゴールだった。


「あの女、またふざけた事をしやがった!ちょっと文句言ってくる。」


「止めておけラゴール。バルバロッサの指示で言ってるだけだ。」


「だけどよ旦那。このやり方は度が過ぎるぜ。」


「ほっとけ。アルディ王を見てみろ。騒がず静かにバルバロッサしか見ていない。邪魔しちゃ悪いだろ。」


「チッ。王さんに免じて今回は黙っておいてやるか。」


視線を離さないアルディに向かって、ほくそ笑んでいたバルバロッサは、舐めきった態度でアルディを挑発してきた。


「あなたは、戦場は初めてでしょう?まだ逃げなくてよろしいので?」


「逃げる?そんな事はしないさ。」


「ほぅ。ならば死にますよ?」


「それは、貴様だろ。貴様の仲間は誰もいなくなった。もはや、闘う意味があるのか?」


「仲間?最初から仲間などいませんよ。居たのは駒だけです。駒が、勝手に死んだ。ただ、それだけですよ。」


「哀れな男だな……。」


「何っ?!」


「哀れと言ったんだ。共に喜ぶ仲間も、酒を酌み交わす友も、愛する者もいない。貴様は、何が楽しくて生きてるのだ?これからも一人で生きるのか?」


「黙れ!これから死ぬ奴に心配などされたくはないわ!」


「そうか。ならば、せめてもの情けに私が逝かせてやる。遠慮無くかかってこい。」


アルディに挑発したつもりが、逆に挑発され逆上したバルバロッサは、合図すら無視しアルディに向かって突進を始めた。慌てた進行役の女史がバルバロッサの行動から数秒遅れて開戦の合図を出した。


「それでは、最終戦はじめーーー!!」


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