~真作~
午下より始めた鍛治は夜通しの作業となったのだが、ジルとドルフは楽しくて時間など気にもせず作業に打ち込んでいた。アルディやグレイ、シリウス、インシュミットもその姿に目を奪われ時間が過ぎている事などわかってもいなかった。
「「出来たーー!」」
ジルとドルフが叫んだ。完成した時には辺りは靄に包まれ朝日が顔を出しかけていた。窓から刺す朝日に照らされた剣と杖は、どこか神々しくそして温かみのあるそんな逸品に仕上がっていた。それを見たアルディ達は声になら無いほど美しい品に目を奪われていた。
「これは凄い………。」
「初めてですよ、剣や杖に心を奪われるのは。」
「うむ。王の剣に相応しい。」
「そうですね。私にも打って欲しいくらいです。」
アルディ、グレイ、シリウス、インシュミットが各々に言葉に出したが、まだ終わりではない。アルディとグレイが採って来た結晶を嵌め込み完成になるからだ。
結晶を嵌める前に《見極の窓》の解析をした武器等級結果は「英雄級」であった。
「結晶嵌める前に、どんな魔法を付与するのですか?」
グレイがジルやアルディに聞いてきたが、そこまで誰も考えてはいなかった。
「そうだな……。ひとつは回復だな。あと能力向上も欲しいな。攻撃魔法もあると便利だし。こんなところじゃないかな?アルディ様どうです?」
「バランスが良くていいな。それで頼めるか?」
「わかりました。では付与しますね。」
ジルは3つの結晶玉を机に置き付与を開始した。
一つ目は回復魔法《大回復》、二つ目は、風嵐系第三位階魔法《疾風》能力向上魔法。自らの素早さを向上させ、攻撃速度を上げる。三つ目は聖天系、最終魔法、《聖光》単体攻撃魔法。攻撃対象に向け聖なる光が敵を貫く。
三つ珠に付与が終わり、外れないようにジルのオリジナル魔法《合成の扉》で刀身と珠を合成した。
「杖の結晶は何を付与するのですか?」
「万が一の時の為、魔力を溜めておける器にしようと思う。」
「器……ですか?」
「俺は魔法なら、何でも使えるだろ?もしも魔力が尽きたら何もできないようになるだろ。その時の保険にね。」
「なるほど…。」
「魔力を蓄積する珠。魔珠。どう?」
「いいじゃないですか。備えあれば憂い無しですね。」
「そういうことだ。」
ジルは珠に《付加》で魔力蓄積を付与した。随時、少しづつ魔力を吸収し蓄積し任意で放出が出来る。こちらも《合成の扉》で外れないように、杖と合成を施した。
宝玉を埋め込んだ剣と杖はさらに神々しくなり、美しさが増したが、ジルはドルフに二つ頼みたいことがあった。
「ドルフさん、剣と杖に彫って欲しい絵があるんだが。」
「絵を彫るのか?」
「あぁ。剣にはアルディ様の加護神、秩序と安寧を司りし女神アイナ様を。杖には、俺の加護神、運命を司りし女神クロトーネ様と炎と鍛冶の神ヴァルカン様を。」
「なるほどな。いいぜ、ちょっと待ってな。」
直ぐ様、ドルフは剣の柄と鞘にアイナを、杖の宝玉の横にクロトーネとヴァルカンを彫った。
「これでどうだ?」
二人は各々の武器を手に取り感触を確かめた。
「素晴らしい。溜め息が出るほど美しい。」
全ての行程を終わらせ、再び鑑定を行った結果、二段階も等級があがり、なんと『神話級』に昇華していたのだ。初めて見る神話級武器にそこにいる者達は、声をあげた。だが、武器を手から離すと神話級から伝説級に一段階落ちていた。ドルフさん曰く神話級は加護持ちにしか扱えない代物で専用装備品の類いではないかということだった。誰かに渡すわけでもないので問題は無い。
「ドルフさん、この剣と杖の名前どうする?」
「それは、旦那が付けたほうがいいだろ。打ったのは旦那なんだから。」
「あんたにつけて欲しいんだよ。いいだろ?」
「そこまで言われたらな。わかった。じゃあ剣は『聖剣アイナ』、杖は『宝杖ヴァルク』なんてどうだ?」
「いいじゃん。アルディ様どうです?」
「加護神の冠を持つ武器。まさしく神器だな。しかも等級が神話級。悪いわけがない。」
「決まりだな。」
こうして、アルディの『聖剣アイナ』、ジルの『宝杖ヴァルク』が完成したのであった。
《 聖剣アイナ 》
アルディ=オズワルド専用武器。等級《神話級》
猩々緋鋼でジル=ヴァンクリフとドルフ=ベインによって作られた逸品。両刃の剣、切れ味は抜群で軽量だが耐久性が高い。刀身の元には小さな三つの宝玉が嵌めてあり、魔法が使える。一つ目は回復魔法《大回復》、二つ目は、風嵐系第三位階魔法《疾風》能力向上魔法。自らの素早さを向上させ、攻撃速度を上げる。三つ目は聖天系、最終魔法、《聖光》単体攻撃魔法。攻撃対象に向け天より聖なる光が貫く。鞘と柄には秩序と安寧を司る女神アイナが彫ってある事から聖剣アイナの名を持つ。
《 宝杖ヴァルク 》
ジル=ヴァンクリフ専用武器。等級《神話級》
黒檀鋼で、ジル=ヴァンクリフとドルフ=ベインによって作られた逸品。上部には拳ほどの宝玉が嵌めてあり、随時、魔力蓄積をし任意で放出ができる。宝玉の両側に運命を司りし女神クロトーネと炎と鍛冶の神ヴァルカンが彫ってある事からヴァルカンとクロトーネの名を併せた宝杖ヴァルクの名を持つ。




