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Magic of OZ~天性持ちの転生者~  作者: 赤間 そあ
~第二章 王国崩壊編~
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~終結~

インザス国 国王レイモンド=ハインリッヒと宰相ゴリアテ=ボルクバルトの二人はシガー王国とミーア国の戦争の一ヶ月前にリザベル王女に囚われ幽閉されたのだ。幽閉と言っても牢屋に入れられた訳では無く堅く閉ざされた部屋の中で軟禁されていたのだった。部屋の中では自由が利くが殺風景で窓には鉄格子があり、出ることは出来ない状況だった。ゴリアテは戦争の責任を擦り付ける為に生かし、国王レイモンドは生涯そこに閉じ込めておくつもりだったらしい。国王レイモンドはリザベル王女と話をさせて欲しいとジルに頭を下げ頼んできたので、ジルは了承した。

「リザベル、儂とゴリアテを監禁しお前の策は巧くいったか?」

「結果を知って尚それを聞くのですか…。」

「お前が考えるより国の政というのは難しいのだ。しかしお前の気持ちも分かる。あのような暴挙に出たのもインザス共和国を思っていたからだろう……。」

「…そうですよ。たとえ兵に嫌われようが罵倒されようが次の世代に幸せになって貰うためならば、わたくしは喜んで悪者になる所存。ですが、戦争で敗けたのですから後の祭りですけどね……。」

「リザベル、お前はやり方を間違えたんだ。間違えたのならばやり直せばよい。そうやって人は大きく育つのだ。」

「いまさら、やり直しなど不可能です。お父様、もう話は良いでしょう。」

リザベル王女はジルの方を向き跪き、自らの幕を下ろすと言ってきた。

「ジル=ヴァンクリフ殿。貴殿には御迷惑をおかけしました。インザス国リザベル=ハインリッヒの首をあなたに捧げ、この戦争の巻く引きとしていただきたく、お頼み申し上げます。」

そこへ、国王レイモンド=ハインリッヒが跪く王女の横で同じ格好をしジルに願い出た。

「ジル=ヴァンクリフ殿、今回は我が娘の愚行を止めていただき感謝いたします。国の為とはいえ、仕出かしたことはあまりに罪深い。インザス共和国国王として娘の愚行を止める事が出来なかった儂こそ処分されて当然。我が首で許しては貰えぬか。寛大な処分を何卒。」

ジルに二人は地面に額を擦るほど頭を垂れ処分を求めた。

「あのな、お二人さん。あんた達の命なんて俺は要らないよ。」

「そういう訳には、いかないわ。敗者としての責任を取らなくては皆に示しがつかないわ。」

「わかった。ならばヴァンクリフ領ミーア地区領主代行ジル=ヴァンクリフの名において処分を言い渡す。国王レイモンド=ハインリッヒ、王女リザベル=ハインリッヒ両名は、生きて償え。死ぬことは許さん。生きて償う事を、俺にではなく自国の民に誓え。インザス国周囲の大国に民の為に立ち向かえ。それが俺からあなた方への処分とする。以上。」

国王レイモンド=ハインリッヒと王女リザベル=ハインリッヒは驚きの表情をしてジルの顔を見上げた。

二人から見たジルは神々しく悠然で、誰よりも優しい顔をしていた。

「はい。肝に命じ、民の為に命を賭して全ういたします。」

ジルは跪くリザベル王女の瞳を見つめ肩に手をやった。

「もし、他国がインザス国に攻める事があれば、俺は貴女方を必ず助けに行く。だから心配せず、民のために頑張れよ。」

「ジル様……。」

リザベル王女は涙を浮かべながら頬を赤く染めていた。天幕の外からは、兵士達の歓喜の雄叫びが聞こえてきた。裁きの沙汰は、拡声玉にて戦場にいる者全てに聞こえていたのだ。

「ったく、こんな事をしたのはグレイの仕業だな。」


グレイにはインザス国に父を殺された恨みがある。だが彼はミーシャの父ゴリアテ=ボルクバルトに真相を聞き、全てを許す決断をしていた。

「すまんなグレイ。俺の処分が甘いのは分かっている。お前には辛い内容だよな。」

「そんなこと、ありません。ジル様の優しさに私も心を洗われた気分です。あなたが主人で本当によかった。」

「ありがとな。これからもよろしく頼む。」

「こちらこそ。宜しくお願い致します。」

グレイもジルがインザスに下した処分で納得した。

「少し宜しいですか?」

誰かがジルの後ろから声を掛けた。宰相ゴリアテ=ボルクバルトだ。

「この度は、誠に御迷惑を御掛けして申し訳ありません。」

「あなたは最後まで、何とかしようと奔走されていたとグレイから聞いています。俺は、初め貴方を疑いました。此方こそ貴方にお詫びを申し上げます。申し訳ありませんでした。」

「謝らないでください。我らインザスを助けて頂いたのですから。」

「そう言って貰えたならば助かります。」

「ジル様に言って頂いたように、これからはインザス国一丸となり国を盛り上げていきます。」

「頑張ってください。何かあれば連絡下されば飛んでいきますから。」

「有り難う御座います。」

「そういえば、あなたの偽物はどうなったのですか?」

「それなんです。私が気掛かりなのは。気づいたら奴がいた部屋は、もぬけの殻で姿が消えていたのです。逃げたのでしょうが、余りにも用意周到な気がしまして。」

「何者なのです?」

「王女、曰く海の王から送られてきた人物らしいのですが…。」

「わかりました。それについてはこちらで捜索しておきます。」

「ならば、その輩の顔を良く知るインザスの者を置いておきます。その者を、コキ使って頂いて構いませんので宜しくお願い致します。」

「わかりました。」


それから数時間が立ち、戦場は静けさを取り戻し怪我人の手当てや炊き出しが行われていた。インザス国は約3割の兵達が倒れ傷付いたが、ミーアの兵は怪我人は出たものの戦死者は出なかった。ミーアの圧勝にて今回の戦争は幕を閉じたのだった。

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