~真相~
この件の一部がルゥの固有スキル『以心伝心』により、ミーシャ=ボルクバルトの心を読む事により分かる事が出来た。リザベル=ハインリッヒは全てを知ったゴリアテ=ボルクバルトを一年前、城に幽閉したのだ。ゴリアテは、今から一週間前に助けに来た娘のミーシャに知っている全て伝えていた。グレイの父グラント=ミーアと旧知の仲で、二人は、なんとか戦争を回避してきたのだが、リザベルはシガー王国とミーア国を陥れる策略を実行しようとした。ゴリアテは、その事をグラントに伝えようとした矢先、リザベルの手の者に捕まり1年ものあいだ幽閉されたのだと。またもやミーア国が戦争に巻き込まれそうな今、自分を助けるよりも、この事をミーア国の者達に知らせるようにとミーシャに命じたのだった。
やられっぱなしは癪に触る。何度も振り回されてばかりでさすがに腹立ってきた。
グレイとミーシャとルゥには秘密裏に別行動してもらう。
俺はブライ、オーガスト、シェリー、ラゴールを集めた。
「あやうく俺はゴリアテの意思を無駄にするところだった。」
「主、だれもゴリアテの偽者がいるなど思わないですよ。」
「そうは言っても、リザベル王女の策略にまんまと嵌まったからな。」
「相手が何枚も上手だった。ただそれだけですよ。」
「そろそろ、暴れるぞ。」
ラゴールが嬉しそうに言ってきた。
「やっとかよ。待ちくたびれたぜ。」
「お前の情報で振り回されたんだろーが!」
「だってよ、ゴリアテって名乗られりゃそうだと思うじゃねーかよ。」
(脳筋ってことを忘れてたな。んな細かい事こいつが考えるわけ無いよな)
「お前ねぇ。騙されてたの分かってる?」
「当たり前じゃねぇか。俺様をコケにしやがったんだからな。捻り潰してやる。」
「…………。(わかってねぇなこいつ。)」
「主、今奴等は自国に戻っている途中ですよね?いまから追い付けますか?」
「追い付く必要など無い。奴等の事だから帰ったふりして大軍引き連れて戻ってくるだろう。俺たちはここで待ち構えてりゃいい。」
「ですがこちらは100名の兵だけですよ?あっちは合流すれば2000の兵になりますよ。」
「それなら大丈夫。兵の数はあっちが上だが質はこちらが上だ。」
「前にも言ってましたね。また主、お得意の悪巧みですか?」
「ふふふ。ブライ、楽しみにしとけって。」
「わかりましたよ。主の事だからまたとんでもない事なんでしょうね。」
「まぁな。」
「勝てますか?」
「3ヶ月前なら、インザス国に敗けると思ってたんだけど今は勝てるとしか思えない。」
「主の悪巧みは、そんなにすごいのですか…。」
ビービービービービービー
その時、伝達ナイフから音が鳴り響いた。
周辺を警戒していたラベンダーからの連絡だった。大軍がこちらに向かってきているというのだ。
皆に戦闘準備をさせ兵に隊列を組むように指示を出した。
インザス共和国、2000の大軍は陣営を張っていた平地をみるみる飲み込み拡がっていった。
その中央よりリザベル王女と指揮官ルイス=ハーケンが前に出てきた。
「ジル=ヴァンクリフ殿、戻って参りましたわ。」
「白々しい事を。お前が黒幕だろうが。」
「あら、やはりバレてましたか。そうですわ、わたくしが全て企んでましたの。」
「シガー王国とミーア国を争うきっかけを作った事もか?」
「そうですわ。最後まで宰相のゴリアテは回避しようとしてましたけどね。」
「それだけでは飽きたらず今度はシガー王国を乗っ取るのか。」
「ご名答。全てはシガー王国を侵略しインザス国の領土にする為てすわ。」
「シガー王国の大公爵、海の王、空の王にも触手を伸ばし仲間に引き入れた、という事だな。」
「あら、そこまで分かってましたの。そういう事ですよジル殿。」
「白状して良かったのか?」
「どうせ、あなた方は皆殺しですから。」
「ふーん。どうやって皆殺しにするんだ?」
「あらあら。数すら読めないのかしら。2000の兵と100
の兵なら分かりそうなものですのに。」
「リザベル王女、最後に聞くが兵を引く気はないんだな?」
「あるわけないでしょう。あなた方はわたくしに蹂躙されて喜んで死になさい。」
「わかった。ちなみに、今の会話は録音させて貰いました。」
ジルは懐から硝子玉を取り出した。その玉にはジルの魔法《付加》で録音が付与されていた。
「面白い魔法を使いますね。ですがあなた方を殺してから取り上げれば問題ありませんわ。」
「そう言うと思ったさ。では、もうひとつ面白いものをお見せしましょう。」
そういうとジルは魔法小鞄から今度は小さな玉を1つ取り出した。




