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Magic of OZ~天性持ちの転生者~  作者: 赤間 そあ
~第一章 統治開始編 ~
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~敬天愛人~

「ありゃ、魔物の言葉がわかるぞー。」

魔獣語が理解できるようになりルゥは行動に移ることにした。魔物の群れを見つけて会話を盗み聞き一匹づつ捕獲していこうと考えたのだが、目の前にいる魔物は様子が何かおかしかったことに気づいた。

目の前にいる岩鶏(ロックバード)は逃げる事しか考えていない様子で、どこか怯えている。

「どうしたのー?」

木の上にいたルゥは岩鶏の前に飛び降り思わず話し出してしまった。岩鶏はいきなりの来襲に驚いたが話が通じる相手だったので直ぐに落ち着きを取り戻し、助けてくれとルゥに頼んだ。ルゥは言葉を通じる相手を捕獲するのは忍びなく事情を聞こうとしたが岩鶏は助けてくれとしか言わない。仕方がないので保護する代わりの条件を提示してみたら、すんなりと岩鶏は受け入れた。いきなり岩鶏50匹を確保したのだった。

岩鶏は他にも助けを求めている魔物がいることを告げるとルゥは岩鶏に案内を頼み、その魔物達に会いに行った。

後にジルを驚かせた100匹の魔物の大行進になる。

岩鶏(ロックバード)羊毛河馬(マモマモ)毛長馬(ロングコートホース)山狼(サンウルフ)牙象(タスクエレファント)、を保護する事になり、さすがに大所帯になったので野営場所に帰ろうとした時、奥の森でうめき声が聞こえてきた。ルゥは保護した魔物達に隠れるように伝え、一人で声がするもとへと向かった。

木々から優しく木漏れ日が差す森の中で、そこには一匹の竜が踞っていた。

その光景はまるで絵画みたいで、黄金色に光り輝く竜鱗が美しく、燐とした佇まいにルゥは目を奪われていた。

しかし、その竜の体には投槍が刺さっており苦しい姿をしていた。

ルゥは竜に歩みより声を掛けた。竜は言葉が通じる異種族は初めてだったらしく驚いたが暴れたりはしなかった。暴れるほどの体力も無かったからだ。

ルゥは、伝達ナイフを使いシェリーに助けを求めた。

「何かあったの?」

「シェリーさん助けて!竜さんが死んじゃう。」

「えっ!!どういうこと?」

ルゥはシェリーに竜が重症でいまにも息絶えそうなことを伝えた。

「その竜を助けたいのね。わかったわ。すぐに行くから待ってて。」

「お願いシェリーさん!」

いまにも、泣き出しそうなルゥの元へシェリーは全速力で向かった。シェリーには技能「絶対音感」があるためルゥの居場所はすぐにわかった。竜のうめき声する場所がルゥの居る場所でもあると確信し森を駆け抜けたのだった。シェリーは口には出さないが誰よりもジルを尊敬し誰よりも仲間や人々を愛する思いが強い。その仲間が困っている。それだけでシェリーには全力を出す意味があった。

その想いは力となる。シェリーが固有スキルを獲得した瞬間だった。


シェリー固有技能

「敬天愛人」

天を敬い人を愛する。自身の大切な者達が苦境に立たされた時、自己能力が倍増する。苦境の度合いによっては二倍にも三倍にもなる。


仲間思いのシェリーならではの技能だ。シェリーはスキル発動した。その移動速度は今までの比ではなかった。

絶対音感と敬天愛人の技能によってルゥのところにあっという間に到着した。

「ルゥ!!」

「シェリーさん?!もう来てくれたのー?」

「挨拶はいいから、竜はどこ?」

「こっち!」

ルゥはシェリーを連れて竜のところに来た。

「これは。飛翔竜(ハイバーン)じゃない。」

「飛翔竜?」

「飛竜の王と呼ばれている竜よ。だいぶ弱ってるわね。」

「助かる??」

「安心して。大丈夫よ。」

シェリーは竜に向かい両手をかざし回復魔法を唱えた。


「回復魔法《大回復(グランヒール)》!」


飛翔竜の体に刺さっていた投槍は抜け落ち竜は元気を取り戻していった。飛翔竜はルゥに頭を擦り付けてじゃれている。シェリーはホッとした顔でルゥと飛翔竜を眺めていた。

シェリーは固有技能を獲得したことを頭で感じ取っていた。

「思わぬときに獲得しちゃった。ルゥと飛翔竜のお陰ね。」

固有技能を獲得したことよりルゥが喜んでいる姿のほうがシェリーにとっては大事なことのようだった。


「そういえば、オーガストはどこにいったの?」

「初日に別れてから会ってないですよー。」

「もう、あいつったら何してるのかしら?」

「その辺で、嬉しそうに魔物と戦ってるんじゃないですかー。」

「いえてるわね。そういえばルゥは捕獲はどうなったの?」

「100匹捕獲しましたよー。」

「100匹??」

「何故だか魔物の言葉が話せるようになってー。」

ルゥは一週間どのように過ごし何故100匹の魔物を捕獲出来たのかをシェリーに伝えた。

「魔獣語のスキルを身に付けたのかも知れないわね。」

「なるほどー。だから言葉がわかるようになったんですねー。」

「たぶんね。」


ルゥとシェリーが、談笑していると奥の茂みからオーガストがやってきた。

「やっと、見つけた。」

オーガストはボロボロになりながらもルゥを見つけた事に安堵した。

「オーガスト?あなた何やってたの??」

「ルゥを探して回ってたら魔物と何度も出くわして戦ってたんだよ。」

「そのわりに、嬉しそうに見えるんだけど。」

「おかげで修行にもなったし能力も上がったからな。」

「誰の訓練をしてたんだか。まぁいいわルゥも魔物を捕獲したんだし。今、村にジル様来ているみたいだから魔物つれていってくれる?」

「はぁーい。じゃあポチと一緒にいきますねー。」

ルゥは、飛翔竜の背中に飛び乗った。

「ポチってなんだ?」

「飛翔竜の名前じゃない?」

「飛翔竜?」

「そこにいるでしょ。ルゥが捕獲したのよ。」

「うお!マジか!!」

「オーガストは早くジル様に連絡して。」

「わかった。」

「ルゥ、訓練は修了でいいから魔物を頼むわね!」

「はぁーい。じゃあシェリーさんいってきまぁすー。」

飛翔竜はゆっくりと空に上がり村がある方向へ低空飛行で飛び立った。他の魔物達も飛翔竜の後を地上から追っていった。

オーガストはジルに連絡を入れたのだが自分はほとんど何もしていなかったので、まともに説明出来ずに通信をすぐに切った。

「そりゃそうよね。あなた何もしてないんだし。」

「面目ない。」

「あと数週間、見習い兵士をきっちり育てなさいよ!!」

「はい。」

オーガストはシェリーに叱られ小さくなっていた。

この訓練が終わったときには今度はジルに叱られることをこの時のオーガストは知る(よし)もなかった。

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