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Magic of OZ~天性持ちの転生者~  作者: 赤間 そあ
~第一章 統治開始編 ~
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~目覚め~

 「ジルっっーーーー」


辺りは暗く月明かりが部屋を照らしていた。

誰かの泣き声が聞こえる。

号泣する声、啜り泣く声、色々な泣き声が聞こえた。


俺は転生するときに一人の男の子に会った。

その子は悲しい顔をしていた。

半透明な体で宙に浮いている。

下にはその子と同じ男の子が横たわっていて

その傍らには母親と父親そして執事やメイドが立っていた

父親の横には10才くらいの男の子もいた。

その子の名前はジル=ヴァンクリフ。

俺の転生先の男の子だ。


その子は、俺に気づいて近づいてきた。

光の粒が生前の体に変わっていた。



「あなたは誰ですか……??」



彼は、恐れずに俺に話しかけてきた。

俺は事の顛末を全て話した。

彼には聞く権利があると思ったからだ。

死んだからといって断りもなく体を貰うのも申し訳ないからな。


「そうですか…」


彼は、うつむきながらそう答えた。


「僕は、小さい頃から病弱で長生きはできないと思っていました。覚悟はしていたんです。けど心残りはあります…家族を最後まで悲しい思いにさせてしまった。僕は悲しませてばかりいましたから。」


「すまない……俺を恨んでくれてかまわない。」


心からそう思い彼に頭を下げた。15の少年なのに家族と離ればなれになるのだから悲しいに決まっている。


「謝らないでください。こちらがお礼を言わなきゃいけないのに。」


「お礼??」


「僕が家族を守る立場だったのにあなたに僕の代わりに家族を支えていただけるのですから。こんなに嬉しいことはないですよ。」


「君は強いな…」


「そんなことありません。あなたに感謝はあれど恨みなどありませんよ。」


「ありがとう。」


「そろそろ行きますね。僕の記憶をお渡しします。」



そう言って彼は、彼の額と俺の額をあて記憶を譲り受けた。


「タカシさん、家族を頼みます。」


「任せてくれ。幸せにするよ。」


「ありがとう…」


そう言うと彼は光の粒になり舞い上がり神族の元へ飛び立った。

転生前に俺は、爺神にあるお願いをしていた。

この男の子の転生だ。

お安いご用と快く引き受けてくれた。

最高神はだてじゃないな。

だが、転生ではなく生まれ変わりしかできないらしい。

それでもいい。

今度は元気な体で生きてほしいと願わずにはいられなかった。


彼を見送ったあと、光の粒になり彼の体に入った。

入った途端、全身に光の粒が纏い眩い光を放った。


俺は転生した。


横になっていた体を起こした。

まわりには、泣いている人は誰もいなかった。

ただただ驚いていた。

そりゃそうだろう。死んだものが生き返ったのだから。


「えーっと…おはよう。」


困ってしまったので、なんとなく言ってしまった?

まだ、まわりは困惑している。

どうしたものかと思っていたら。

小さな男の子が寄ってきた。


「兄さんがいきかえったぁー」


嬉しそうに俺に抱きついてきた。


「あぁ神様…ありがとうございます。」


父親がそう言うと母親が俺に飛び込んできた。


「ジルぅぅぅぅー!!!」


母親は小さい女の子が泣いてるみたいに抱きついている。

なんだか嬉しかった。

執事やメイドも泣いているが笑っていた。

前世では天涯孤独の身だったから、家族の温もりが暖かかった。

落ち着きを取り戻すのになかなか時間がかかった。

俺は、いきさつを話したがそれは爺神とあらかじめ考えておいたシナリオだ。

転生の事を話すのは口止めされていた。

世界に余計な干渉を与えることは禁止されているからだ。

言わないように神の力でその内容は封じられているので

話すことはできないようになっている。

描いていたシナリオはこうだ。

病気で死んでしまったが最高神ゼウルフが不憫に思い

命を与えなおした。しかし神の力の影響もあり軽度の記憶喪失が起こり、人格や言葉使いが変わってしまったというものだ。

無理矢理感があるがまぁいいだろう。

その事を爺神は神の力で、ここにいるものたちの頭の中に直接話しかけ納得するように促した。


その場にいる全員が静まり時が止まっているようだった。

そう思った瞬間…


「おぉ、神からの祝福だ。」


父親がそう言ったのを皮切りに歓喜の声に包まれた。


「神様…有難う御座います……。」


皆がそう言って、天に向かって拝んでいた者もいれば

喜びのあまり踊り出す者もいた。


(本当の事言ったらやばかったんじゃね…)


苦笑いをしていると老執事が


「皆様ジル様も、お疲れでしょうし休んでいただきましょう。」


ありがたい。

この状況がいつまで続くのかと困っていたのは間違いない。


「そうだな。今日はゆっくり休みなさい。明日また話をしよう。」


「そうね。明日にしましょう。」


父が俺に横にし母が布団をかけ直してくれた。


「兄さんまたね。」


弟が俺に手を振ってくれた。

部屋から、皆が出ていった途端急に睡魔が襲ってきた。

そして、俺はまた眠りについた。

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